SNS時代の若者は、他者の反応を自分の価値と結びつけやすくなっています。
「反応が薄いと、自分には価値がない気がします」
学生と話していると、そんな声を聞くことがあります。
他者の反応が、そのまま自分の価値のように感じられてしまう。
そうした感覚を抱える若者は、いま少なくありません。
SNSでは、評価が数字で見えやすく、他者と比べやすい。
だからこそ、気持ちが揺さぶられやすいのです。
数字で見える評価は、想像以上に心に残ります。
心理学には、「自己価値の随伴性」という考え方があります。
これは、他者からどう評価されるかや、どのような成果を出せたかによって、
自尊感情が揺れ動く状態です。
評価されれば安心できる。けれども、反応が乏しかったり、
思うような結果が出なかったりすると、心まで不安定になる。
SNSは、その揺れを強くしやすい場でもあります。
若者と関わるうえで大切なのは、「できたかどうか」だけで相手を見ないことです。
「今日は来てくれてうれしい」
「その話をしてくれてありがとう」
そうした、存在そのものに向けた言葉が、安心の土台になります。
そしてもう一つ。
小さな「好き」や「得意」を丁寧に拾うことです。
大きな夢でなくてもよいのです。
言葉にされた小さな関心は、その人らしさの手がかりになります。
その積み重ねが、学びやキャリアの芽になることは少なくありません。
評価の数ではなく、自分の内側の感覚。
その感覚に気づく時間を、私たちは支えたいものです。
【プロフィール】
臨床心理士。日本大学生物資源科学部教授。
専門は教育相談、コーチング、教育心理学。元高校教師。
現場での実践経験に基づき、心理学の理論を
教育・組織の現場で活用できる具体的な手法として展開している。
著書に『教室「心理術」大全』(明治図書)など。
