2015年(平成27年)7月1日、私は途方に暮れていたようである。
PCのデータ整理をしていたところ、「2015進路記録」というファイルが見つかった。
開いてみると、「7月1日(水)来校企業2社 県内求人8件」と書いてあった。
同様の内容で来校企業数と郵送された県内企業の求人票の合計件数が記入されており、
週を挟んで5日間で途切れている。
なぜ、このような記録を残したのか、自身であるが判然としない。
5日間の記録を合計すると、最初に、各クラスに配布できた求人一覧表
(1枚25件だったか)は2枚に満たない程度であったようである。
記録最後の日となる「7月7日(火)」には、
ここでは書くに堪えない言葉が連ねてあったので、
求人の出足は予想していたよりも遥かに良くなかったようである。
当時の求人・求職状況を、私の記憶と群馬労働局の資料から考察することにする。
兎にも角にも、あのころの就職指導には苦心した覚えがある。
2010年のリーマンショックの影響で大卒・高卒新卒の求人数が
大幅に減少(群馬県高校新卒前年比 求人数約40%減 内定者約15%減)し、
「就職氷河期再来」と言われた時期であった。
さらに翌年の東日本大震災の発生による甚大な被害は、日本経済に大打撃を与えた。
その後、新卒求人数は徐々に増えていたものの、以前の状態には、なかなか戻らなった。
しかし、私の勤務していた高校では、就職を希望する生徒が増加傾向にあった。
生徒の志向する企業を増やそうと、進路指導部や3学年の教員で企業訪問を繰り返した。
その結果が、「記録」にあった7月1日から1週間であったと思う。
残念ながら出足は鈍く、全て徒労に終わるかと諦めかけていたことを覚えている。
ところがその後、求人件数が増えていくのである。
求人票を持参した企業の方々の訪問が多くなった。
それは、夏季休業まで途切れることはなかった。
結果的に求人数は大幅に増加した。この2015年は、潮目が変わった年であったと思う。
この年の群馬県の高校新卒の求人数は、前年に比べると29%増と大幅に改善されている
(全国的にも同様だと思う)。翌年以降、県内の求人数は新型コロナの影響が広まるまで、
10%以上の増加を続け、就職希望者も増えていた。しかし、新型コロナが終息すると、
また潮目が変わった。求人数は、ますます増加しているが、
生徒数の減少と進学志向の高まりにより、就職希望者が減少しているのである。
群馬県高校新卒就職を11年前と昨年度を比較すると、
就職希望者は約1千人減少し2千人弱、
求人件数は約3千件増加し9千件を超えている。
求人倍率は約2倍超の4.24倍(全国平均4.15倍)と過去最高であった。
今年の求人は、昨年以上であると各学校の先生方から聞いている。
生徒にとって選択肢は多くなることは喜ばしいことである。
しかし、どれを選べばよいのか迷ってしまう生徒も多いのではないか。
生徒自身の人生設計を考える時間と適切なアドバスがより必要な時代となっていると思う。
11年前は、選択肢が少なく、生徒が迷いに迷った時代であった。
世情が混沌としている昨今、大昔のあのころに戻らないことを切に願うばかりである。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う
