「対応力」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文

授業で、不安になることがある。学生の「対応力」である。
プリントに「名前・ふりがな」と記載があるのに、ふりがなは未記入。
これを記入させるのは、名前を間違っては失礼にあたると考えているからだ。
また、名前の漢字のつづりが雑で読みにくいためだ。
「この枠の上に、番号を書いてください。」
と書く箇所を指で示しても、未記入や書く場所が違う学生が複数いる。
「え?」、「言ったことやってよ!」、心の中で叫んでいる私。
指示した通りに対応してくださいと指示しても、
「自分がいま必要とはしていないから、対応しない? できない?」
原因は、注意力や記憶力が不足しているのか?
公務員等は、まずは、指示通りに「対応する力」が求められるため、
問題であると捉えている。

対策をネットで検索すると、私や同僚が行っている指示や作業が見受けられる。
その中でも
「言われた通りにやらなくちゃ」ではなく、「正確に進めるための確認をするよ」と
ポジティブに捉えて? おだてて? メモを取らせ、復唱している。復唱が増えている。
それでも不安な学生には、私自身がメールに指示内容を入力し、記録を残している。
本人の安心感だけでなく、私(教師)の安心料である。
ミスをなくす、確実に仕事をこなすには必要である。
しかし、上司やチームメイトの仕事や気遣いが増える。
「ストレスが増える」、「疲弊してしまう」、
「仕事を一緒にしたくないと距離をおかれる」のではないかと思えてならない。
根底には、「自分には不要」という思い込みが、
ふりがなを書く、メモを取るといった基本的な対応を怠らせる原因になっているのでは?
これは「過信バイアス」か?
そのような学生が増えているとすれば、「大学でやることかと!」と言われそうだが、
大学でも指示した通りにできるかの指導と確認を全教職員で行う時代ではないか。

【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職