「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(20)どうなる履歴書作成」筆者・小林英明

前回の私の担当コラムで履歴書のPC作成に触れたが、
(※参照:https://shinronavi.com/news/detail/1977
その後PC作成の推奨に動いている地域があるという話を聞いた。
私が「どうする?」などと悠長に考えている間に世の中はもう動いていた。
しかし、PC作成の拡大には課題もある。
私は指導用履歴書見本を表計算ソフトの履歴書用紙ファイルを使うが、
表計算利用には多少の面倒もある。慣れればたいした手間ではないが、
高校生に慣れるまで練習する時間はないし、慣れるほど履歴書を書いても困る。
簡便に入力できる「高卒就職用履歴書ファイル」が欲しいが、
これもきっとどこかが動いているのだろう。

こんなことを考えていたら突然「全国高等学校統一用紙変更」の情報が入ってきた。
特に履歴書の志望動機欄の変更は大きな影響がありそうだ。
欄の大きさは変わらずにアピールポイントも記入することになった。
趣味・特技欄が削除されたのだからそこにアピールポイント欄を作ればよいのに、とも思うし、
なぜ趣味・特技欄が削除されたか疑問もある。
何か深い仔細がありそうで気になるところだがもう決まってしまったようなので、
当方は高校生が志望動機とアピールポイントを
限られたスペースでも充分に表現できるような支援を考えなければなるまい。

さて、この履歴書用紙変更はPC作成にもつながりそうだ。
それは文字数と文字サイズである。
欄の大きさは変わらずにテーマが増えたのだから、今までよりも多くの字数を記入したい。
記入欄には罫線もマス目もないから文字数は自由だが、
現在多くの高校生は200字程度で書いているのではないだろうか。
そしてその文字は生徒たちには書きやすいサイズ、または小ささの限界に近いのかもしれない。
しかし、履歴書指導準備にアピールポイントを含めた志望動機例を作成してみると、
ある程度の内容をまとめるには300~350字程度はほしいと感じた。
350字の記入は4~5mmのマス目に書くイメージだ。
高校生にとってこの文字サイズで350字の手書きはかなりのストレスになりそうだ。
そこで話は履歴書のPC作成に戻る。
PC作成ならば小さい文字を書くストレスはない。
350字程度であれば読み手にとってもストレスなく読める文字サイズで入力できる。
むしろたくさん書けば評価が上がるだろう、
などと考えてフォントサイズを下げすぎることのほうが心配だ。
試しに700字以上の文字を打ち込んでみたが、
できることならあまり読みたくはない細かさになった。
字数制限などの前に担当教員の良識ある指導に期待したい。

新しい仕組みには新しい問題、課題が現れる。
さて、履歴書の用紙変更やPC作成という新しい仕組みは、
これからどのように展開するのだろうか。

【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。