目指したきっかけはTV局の見学/後進の育成に情熱を注ぎたい
中学生時代は放送部に所属していました。当時、NHK見学の機会があり、それがきっかけでアナウンサーという仕事に夢を抱くようになりました。大学に進学してからもその夢をあきらめず、アナウンサーのレッスンを受けたりしていました。そして卒業後、TTBという大阪のタレントプロダクションに入り、関西テレビでCMや番組のナレーションなどを中心にお仕事をさせていただくことになりました。フリーナレーターとしての活動を始めたのは45歳前後からです。
いろいろなことに挑戦しようと、友人と「Madam・Keiko・たち」という朗読ユニットを結成し、ラジオ番組の出演や朗読ライブ活動などをしています。若手のナレーターの方々と一緒に朗読劇を上演したこともあります。
40歳を過ぎたあたりから、若手の育成にも興味がわいてきました。そのため、プロダクションの養成所でプロナレーター育成講師として10年間勤めた後、大阪総合デザイン専門学校の講師になりました。平成26年4月からは、大阪エンタテインメントデザイン専門学校で指導を行っています。
秘訣は図太さと繊細さを合わせ持つこと/おもしろいと思う感性を大切にする
声を使って表現する――。そんなことが私は昔から好きでしたから、この仕事にはとてもやりがいを感じています。常に好奇心を持ち、「おもしろい!」と思う感性を忘れないように日々過ごしています。
ナレーターをやっていて良かったと思うのは、聴いている人たちから「楽しい」「よく理解できる」「感動した」といった感想をもらえたときです。しかし、書いてある文字を言葉として表現し、相手に伝えることの難しさはいまでも感じています。
仕事をうまくこなしていく秘訣は、図太い神経と繊細な神経を合わせ持つこと。オーディションに落ちても仕事で失敗してもクヨクヨしない強い気持ちと、言葉の表現一つひとつに細かい感情の違いを込められるようなキメ細かさが必要です。
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地味な練習を繰り返す重要性/感じた気持ちを具体的な言葉に
ナレーターに必要不可欠なのは、地道な基礎練習です。発声や滑舌練習は地味でついサボりたくなってしまいがちですが、この訓練をどれだけ根気よくやれるかが、この仕事を長く続けられるかどうかを左右するといっても過言ではありません。現に、私はいまもこの練習を毎日繰り返していますし、その努力は必ず自分の力になるものと信じています。
また、常にいろいろなことに興味を持つ心を忘れないようにし、感じたことをすぐ言葉に置き換えてみる行動習慣が大事です。特にプラスのこと、例えば「きれい」だと思ったら、その気持ちをより具体的な言葉で表す訓練をしています。それが自然とできるようになれば、ナレーターとしてのスキルももっと上達させることができるでしょうね。
好きなことを一生の仕事にできる幸せ/少し勇気を持って前へ一歩踏み出そう
どのような道を志すとしても、夢をかなえるためには辛いこと、挫折しそうな局面が必ずあるものです。けれども、もし自分の好きなことを一生の仕事にできるのであれば、こんなに幸せなことはありませんよね。私は35年間ナレーターの仕事を続けてきて、ふといまの自分を見つめてみると、「自分はなんて幸せなんだろう」と、素直に思うことができます。
高校生のみなさんにとっては、将来というのはまだまだ遠い未来のことかもしれません。しかし、何かやりたいことがあるのなら希望を捨てたりせずに、もう少しだけ勇気を持って、一歩足を踏み出してほしいと思います。そうすることで、全く違う景色が見えてくるのではないでしょうか。
掲載日:2015-05-25