仕事内容について
実際の仕事内容はかなり広範囲にわたるので、具体的に一言では言い表せないのですが、メインの仕事として『僧侶』と聞いて一般の方が通常よく連想するような事柄・・つまり、葬儀式や毎月のご命日のお経、法事(年忌法要)などの儀式的な事柄がメインです。それ以外にも雑用が色々ありますが。
仕事に就いたきっかけ
お釈迦様が説かれた人間成就の尊い教えに触れ、一人でも多くの方に本当に人間的な生活を実現していってもらいたいとの願いが生まれたからです。とりわけ、大乗の仏教は本来「真実の教え」ひとつです。中でも、浄土系の仏教観は、加持・祈祷・占いなどの、何の根拠もない迷信や嘘などは、本来、一切認めていません。なぜなら、それは一時的な救いとして気を紛らわせる程度の効果はあるかもしれないですが、そんなものではいつまでたっても本当の悩みから救われないからです。しかし、現実にはそういうものにいちいち惑わされてしまっている我々の姿があります。本当の救いは、そんなことに振り回されず、もっと覚めた目で物事の本質を見極め、ぶれの無い『軸』を自分の中に持つことからはじまります。その中心軸を支えるものこそ仏教であると。もちろんそれだけではありませんが、私自身としては、そういう「真実志向」の教えに大きく惹かれたことがいちばんのきっかけでしょうか。
良いところ、大変なところ
仕事が入ってないときの、空いた時間を使って儀式の作法などの勉強もしなくてはならないですし、掃除や立花など、寺院の雑用もこなさなくてはならないですが、とにかく通常の仕事と違ってマイペースでできますし、自由になる時間がとても多いのは良いですね。大きいお寺なら通常の会社よりかなり良いお給料が貰えているところもあるようですね。反面、土日の休日は基本的にありません。もちろん、長期休暇など取れませんから旅行へ行くのもなかなか難しいです。その点が大変ですね。
今後の夢・目標
いずれは、現代の人たちにも分かりやすく仏教を紹介していきたいですね。やはり、そのためには仏教音楽はいいと思ってます。しかし、仏教音楽は今の人たちには音階が感覚的に受け入れがたいでしょう。自分は楽器が得意ですので、現代的なコードにアレンジしてもいいと思う。昔ながらの伝統も大切ですが、新しいものを取り入れていく柔軟さも必要だと感じます。
仕事人から読者へ
僧侶、または役僧になるには、僧侶の資格が必要です。各宗派ごとに、そういう資格をとる学校があると思います。浄土真宗の場合は、同系列の大学(大谷大学など)で僧侶の資格を取得することもできます。技術的には、読経は上手く出来なくてはなりません。できれば、立花、書道も出来たほうが良いですし、法衣の畳み方も知っていたほうが良いです。「役僧」を募集している寺院があれば、そこで働かせてもらうのが収入面では一番いいでしょう。法務は無経験でも、寺院によっては仕事内容を丁寧に教えていただけるところもあるようですから。
掲載日:2006-10-01