「将来は医療事務を目指したい」
「医療事務ってどんな仕事をするの?」
「医療事務を目指せる学校を探したい」
医療事務を目指す中で、このように考えている方も多いと思います。
一口に医療事務といっても、さまざまな働き場所や仕事内容が存在します。
この記事では、医療事務になるための方法や資格、仕事内容、給与や就職先などについて詳しく解説しています。
将来就きたい仕事について考えている学生の皆さんは必見の内容となっています。
医療事務になるには?資格は必要?
医療事務は国家資格を有する仕事ではないため、結論から言えば無資格未経験でも目指すことは可能です。
ただ、未経験の場合は就職先において「資格だけは保有しています」と言えた方が好印象であるため、今後のことも考えたら資格は取っておいた方がいいでしょう。
医療事務になる方法は2つのパターンがある
医療事務になる2つのパターンを紹介します。
- 未経験でも働くことができる医療事務の就職先を探す
「仕事を経験しながら勉強したい」「すぐにでも働きたい」と考えている人は、未経験でも受け入れてくれる医療事務の就職先を探しましょう。
最初は慣れないことも多いので大変だと感じることも多いかもしれませんが、実務を経験してから資格を取得すると頭に入りやすいメリットがあります。
ただ面接時には未経験だと不利になる場合があるため「実務を経験しながら資格取得を目指しています」とポジティブに伝えていくといいでしょう。 - 医療の専門学校や通信などで資格取得後、就職する
「まずは資格を取得して、実務にはげみたい」と考えている人は、医療の専門学校や大学などで医療事務に活かせる資格を取得してから就職先を探しましょう。
資格必須ではないとはいえ、年々医療事務を目指す人が増える傾向にあることから、資格を持っている方が確実に有利といえます。
今後も長く「医療事務で働きたい」と考えている人は特に資格を取ってから就職したほうがいいでしょう。
資格は必須ではないが、民間資格がいくつか存在する
医療事務には必須ではありませんが資格が十数種類以上もあります。資格取得をしてから医療事務を目指す場合「どれを取得すればいいの?」と迷うこともあると思います。
ここでは各資格の概要から試験日の目安などを詳細に解説します。
①医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
医療機関での受付業務・診療報酬請求事務のスキルを問われる、医療事務に関する資格の中でも有名な資格の一つです。医療事務関係としては最大規模の試験といわれており、40年以上の歴史のある医療事務資格の代表的な試験です。
- 試験日: 月に1度実施(年12回)
- 試験の形式: 筆記・実技
- 合格率: およそ60%前後
- 受験料: 7,700円(税込)
②医療事務認定実務者
医療事務の受付業務に関する知識とスキルを求められる試験です。医療事務の制度や業務の流れ、診療報酬に関することなど、医療事務の大まかな業務を学ぶことができます。
試験は在宅で受けることができるため、試験を受けやすいことがメリットにあります。医療事務を目指すスタートの資格として人気の高い資格の一つです。
- 試験日: 月に1度実施(年12回)
- 試験の形式: 筆記
- 合格率: およそ60%~80%
- 受験料: 5,000円(税込)
③医療事務管理士技能認定試験
日本で最初にできた医療事務の資格といわれており、長い歴史があることから認知度の高い医療事務資格となっています。
医療保険制度、診療報酬の仕組みが出題され、正確な点数を割り出すことができる能力と技術を証明します。
実務での業務内容では、医療事務全体の業務をサポートできるポジションを任されることがあります。
- 試験日: 月に1度実施(年12回)
- 試験の形式: 筆記・実技
- 合格率: およそ50%前後
- 受験料: 7,500円(税込)5,400円(税込)※免除あり
④診療報酬請求事務能力認定試験
医療保険関係の法律や基礎の医療に関する幅広い知識を必要とした試験です。医療行為に対する点数である診療報酬点数は、2年に1度の法律改正で改定されます。改定後の最新の算定方法や処理能力が求められる業務のため、資格取得をすることで即戦力になることをアピールできます。
専門的な知識が必要な診療報酬請求事務に従事する人材の資質向上を目標としています。
- 試験日: 毎年7月と12月(年2回)
- 試験の形式: 筆記・実技
- 合格率: およそ33%前後
- 受験料: 9,000円(税込)
どの医療事務資格であるにせよ、資格を保有している方が就職には絶対的に有利です。それは、資格を保持していることでご紹介したスキルや知識を持っていることを証明できるからです。基本的な知識を持っていることで戦力になることをアピールできます。
進路ナビでは、医療事務を目指せる大学や専門学校を紹介しています。以下のページから大学や専門学校を探してみましょう。
医療事務の仕事内容
次に、実際の医療事務の仕事内容を細かく解説していきます。
資格取得を目指しながら、実際にどんな業務内容があるのか確認しておくことが大切です。
受付、会計業務
病院の顔ともいえる受付や会計業務は、患者様と密に接する大切な業務です。
初めて来院した患者様に診察券を発行したり、何度か来院した方のカルテを管理したりすることもあるでしょう。患者様から直接な意見を聞けるのも受付になるので、失礼のない態度や明るい対応が求められます。
レセプト業務
病院にかかったとき、健康保険証を提示することで自己負担金として医療費の3割のみを支払います。残りの7割は健康保険組合などに請求しており、その際に医療費の内容を明確にするために診療報酬明細書を作成しています。この診療報酬明細書を作成する業務を「レセプト業務」と呼びます。
レセプト業務は毎日行うものではなく、基本的には月一回の業務になります。
また、医療機関の売り上げの多くを占める請求業務であるため、点数には正確さを求められます。もし何度も間違えて請求してしまうと、健康保険組合からの信用性がなくなってしまうことや医療機関の運営に関わる業務のため注意が必要な業務です。
クラーク業務
入退院を受け持つ大きな病院では、入院時に必要な書類の説明や、施設の利用方法などを患者様に伝える業務があります。それがクラーク業務です。
長い期間の入院となるとその分費用高額になるため、高額医療費制度の説明も患者様に伝えていかなければなりません。
まずは自身が制度に関する勉強をするのはもちろん、入院で不安を感じている患者様やその家族にわかりやすい言葉で説明する必要があります。
医療事務の一日の流れ
ここでは、一般的な医療事務スタッフの一日の流れを確認していきます。
勤務先での多少の違いはあるかもしれませんが、流れのイメージを確認しておくことが大切です。
- 開院前(~8:30): クリニックの清掃。患者様の目につかないような場所も意識して清掃する。本日の予約の確認など。
- 開院 8:30: 来院した患者様の受付、会計業務などの対応。
- 休憩 12:30: 午前診療が終わり次第休憩に入る。自身の休憩が済んでからは午後診療の準備をすることもある。
- 午後診療開始 14:30: 午前診療と同じく来院した患者様の受付、会計業務などの対応。時々レセプト業務なども含む。
- 業務終了 18:00: 会計の最終チェックやレセプト業務など。受付時間ギリギリの患者様がいる場合は残業になることもある。
医療事務スタッフは、医師や看護師のように直接医療に携わることは少ないかもしれませんが、事務業に徹底して患者様と医師を繋げる大切なサポート担当となります。ライフスタイルが変わり、上記の流れに合わなくなってもクリニックは全国どこにでもあり、診療時間もそれぞれ変わります。スキルを活かして長く働けるのも医療事務の魅力といえます。
医療事務の就職先
医療事務とはその名の通り、医療機関での勤務が中心となります。
大まかに分けると以下の通りとなるため、自分がどの勤務先を選びたいのかイメージを掴んでみましょう。
病院
一般的に使われる“病院”とは、医師が医療行為を行う施設で尚且つ20人以上の患者を入院させることができる施設のことを指します。
小規模なクリニックでは対応できない医療も、専門検査などを用いて治療を進めることができるのが病院の強みです。
また、一口に病院と言っても医療法改正を元に、機能や対象とする患者様によって種類分けがされています。
- 一般病院: 地域密着型の病院。一般的に病院と聞いてイメージするものが一般病院であり、まずはここで精密検査などを行う。
- 地域医療支援病院: かかりつけ医からの紹介を中心に医療を提供している。原則として200床以上の病床数を保有しているなどがある。
- 特定機能病院: 高度な先進医療を提供する病院。国(厚生労働大臣)の許可を得ている病院に限る。
- 精神病院: 精神疾患の患者を入院させるための設備が整った病院。
- 結核病院: 結核の患者を入院させるための設備が整った病院。
クリニック(診療所)
クリニックとは入院設備の伴わない、もしくは病床数が19床以下の医療機関を指します。
設備の規模は小さく、患者数やスタッフの数も少ないのが特徴で、比較的軽い症状の人が受診できる医療施設となっています。
仮にここで重症な病気の可能性が見つかった場合、医師が紹介状を記入して高度な検査や治療ができる病院に転医することとなります。
保険薬局
医師が発行した処方箋を元に、薬剤師が必要な薬をそろえて患者へ提供するのがこの保険薬局です。
ここの受付でも患者の個人情報の管理を行う、順番に案内をするなどといった業務を担うことができます。
医療事務の将来性について
次に、医療事務の今後の需要について確認していきましょう。
医療事務が必要とされる場は増えていくと考えられる
少子高齢化も懸念されていることから、医療事務は今後も必要とされる場が増えていくことが予想されます。
一般的な企業と比べて医療機関は景気の影響も受けにくく、私たちが生きていく上でも病院は欠かせない存在となっていることは間違いありません。
そのため、今後はあらゆる観点から医療事務の需要が高まってくるといえるでしょう。
AIによる代替可能性は高いが、全てAIに取り変わることはない
AIによる代替の可能性は業務上では高いといえます。というのも、最近では会計を自動精算機で行う医療機関も増えてきていることや、人間が対応するよりも圧倒的にミスが減るという利点があるからです。
ただ、医療事務の業務は受付・会計だけにとどまりません。治療に不安を抱えた患者に寄り添って不安を和らげることができるのは、人間だからこそといえます。患者に寄り添ってサポートするのも、医療事務の立派な仕事です。
また、どの業務でも最終的には人間が確認しなければならいこともあり、全てがAIに代わることはないでしょう。
雇用形態や勤務先の医療機関によって待遇は異なる
医療機関によって多少異なる部分はあるものの、総合病院は比較的制度が充実しているといえます。年間休日も比較的多いところがあるので、求人応募の際はしっかりと確認していきましょう。
医療事務はどの時代も人気の高い職業となっており、患者様の健康を守るためにも必要不可欠な存在です。仕事をしている上で何度もやりがいを感じることができるでしょう。
医療事務の給料、年収相場
医療事務で働く人たちの平均年収は、地域差はあるものの250万円~350万円ほどとされています。
中でも大学病院で働く医療事務スタッフでは平均年収は高い傾向にあり、次に総合病院、個人病院という形です。
- 大学病院: 249万円~
- 総合病院: 230万円~
- 個人病院: 201万円~
勤続年数3年目を越えたあたりから平均的に月収20万円を超えるケースが増えていきます。
医療事務に向いている人
次に、医療事務に向いている人の特徴についてお話していきます。
必ずしも全て当てはまる必要はないので、参考程度に確認してみてください。
正確な作業を得意とする人
医療事務は、レセプト業務や会計業務など、ミスをしてしまうと健康保険組合や患者様に迷惑をかけてしまう業務を取り扱います。そのため、チェックを怠らない正確な処理ができる人は向いているといえるでしょう。
ただ、もしミスをしてしまっても同じようなミスをしないよう次回から心がけることができれば大丈夫です。
明るくコミュニケーションが取れる人
患者様の中には治療に不安を抱えて来院される方も多くいます。特に医療現場ではピリピリとした雰囲気の厳しい環境であることから、医療事務は笑顔で明るい対応を求められることがあります。
患者様に寄り添い、他人への気遣いができる人は医療事務に向いています。
向上心がある人
診療報酬明細で使用する点数は、2年に1度改正が行われます。そのため、一度資格を取得しても勉強し続けなければなりません。
そのため「勉強することが楽しい」とポジティブに向上心高く持てる人は向いているでしょう。
医療事務を目指す学校の選び方
最後に、自分が医療事務を目指すにあたってどんな学校を選ぶべきか特徴をあげていきます。
- 通いやすい費用、費用であること
- 就職サポートが整っていること
- 自分の取りたい資格の合格率は高いか
- 学習サポートが整っていること
なお、進路ナビでは、医療事務を目指せる大学や専門学校を紹介しています。以下のページから大学や専門学校を探してみましょう。
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