システムエンジニアはプログラマーの上位職として、責任のある仕事です。そのため、システム開発の経験や知識、専門的なスキルが欠かせません。基本的に学歴よりも実力が重視される傾向がありますが、大学や専門学校などで情報工学やコンピューター工学の知識を身につけておくと有利になる仕事です。本記事では、システムエンジニアの仕事内容や就職先の解説と、システムエンジニアを目指す方へ向けて、通ったほうがいい大学・学部についてもまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
エンジニアとはどんな仕事?
エンジニアには分野や専門領域ごとにさまざまな仕事に分かれています。数多くの種類があるため、まずはどのような仕事があるのか見ていきましょう。
そもそもエンジニアとは
エンジニアとは、工学(エンジニアリング)の専門知識がある技術者のことです。分野によって必要な知識やスキルは異なります。例えば、システムエンジニアはプログラミングを用いてコンピューターシステムの開発業務の一連を対応するエンジニアです。IT分野では、システムエンジニア以外に、インフラエンジニアやWebエンジニア、AIエンジニアなどがあります。また、IT分野以外にもメカニカルエンジニアや食品エンジニア、自動車エンジニア、ロボット開発エンジニアなど、さまざまなエンジニアが存在します。
分野ごとの主な仕事内容の紹介
エンジニアは主に、開発系エンジニア、インフラ系エンジニア、ITエンジニアの3種類に分けられます。ここでは、それぞれの仕事内容について紹介します。
開発系エンジニア
開発系エンジニアとは、システムを開発するために設計や開発、テスト、運用保守などを行うエンジニアのことです。業務用システムやWebシステム、機械や装置に組み込むシステムなどの開発を行います。小規模なシステム開発から大規模なシステム開発まで、業務の幅が広いことが特徴です。
インフラ系エンジニア
インフラ系エンジニアとは、IT関連のインフラを構築・運用するエンジニアです。IT関連のインフラとは、サーバーやストレージ、ネットワーク、OS、Webサーバーなど、ITを利用するための基盤のことをいいます。例えば、ネットワークエンジニアやデータベースエンジニア、クラウドエンジニアなども、インフラ系エンジニアの一種です。
ITエンジニア
ITエンジニアとは、インターネット上で公開されるWebサービスやWebアプリケーションの開発や、IT関連に特化した業務を行うエンジニアです。開発や運用だけでなく、ユーザーのサポートを行う場合もあります。また、マーケティング施策を提案することもあるため、Webマーケティングの知識も必要です。ITエンジニアには、セールスエンジニアやWebエンジニア、データベースエンジニア、データサイエンティストなどが含まれます。
エンジニアの就職先とは
エンジニアになるためには専門の知識が必要になるため、多くの人は大学や専門学校などで専門分野を学びます。そのため、大学や専門学校などで学ぶ内容によっても就職先が変わります。ここでは、エンジニアの主な就職先について紹介します。
工学系エンジニアの就職先
大学の工学部や専門学校などで学んだ場合は、機械系や電気系、エネルギー系などの専門分野に分かれます。
自動車・輸送機器業界
専門分野が機械系の場合は、自動車や輸送機器の製造・開発を行う企業に就職する人が多い傾向があります。就職後は、自動車やバイク、飛行機などの開発、設計、生産、管理などの業務に携わるケースが多くあります。
電気機器・機械
専門分野が電気系の場合は、電気機器や機械を製造・開発する企業へ就職する人が多い傾向があります。就職後は、電気機器や機械の設計、品質管理、生産管理などの業務で活躍が期待されます。
エネルギー関連
電気やガス、石油など、エネルギー関連の企業に就職するエンジニアも少なくありません。電気分野では発電や送電、配電、販売などの業務やシステムに携わります。ガス分野ではガス製造工場の運営や管理に携わるケースが多くあります。また、石油分野では燃料の開発や製造、販売などを行います。
医療関連
エンジニアの中には医療系のシステム開発に携わる人もいます。医療関連の企業でエンジニアとして活躍するには、ITやプログラミングの知識だけでなく医療系の専門知識も必要です。その知識を活かし、院内システムの保守や管理、ネットワークの管理、システムや機器のトラブル対応などを行います。
ITエンジニアの就職先
次に、ITエンジニアの就職先について紹介します。
システム開発会社
システム開発会社とは、顧客が業務で使用するシステムの開発を行う会社です。システムエンジニアやプログラマーなどのエンジニアが在籍しています。開発したシステムを商品として企業に販売します。
IT関連企業
IT関連企業とは、WebサイトやECサイトなどのインターネットサービス、ハードウェアやソフトウェア、情報処理システムなどのサービスを提供する会社です。仕事内容は企業によって多種多様で、主にインターネット分野、ソフトウェア分野、ハードウェア分野、通信分野、情報処理分野などがあります。
SIer
SIerとはシステムインテグレーションの略で、IT業界においてシステム開発や運用を請け負う会社です。顧客の要望に応じて、システムやアプリケーションなどの開発、データベースやECサイトの構築などを行います。システム開発会社との違いは、システム会社が開発をしたシステム(サービス)を販売するのに対し、Sierは顧客の要望を聞いて開発をする点にあります。
仕事内容によってはフリーランスとして働く人もいる
エンジニアの中には、企業に所属せずにフリーランスとして働く人もいます。ただし、フリーランスのエンジニアとして働くには一定レベルのスキルや経験が必要になり、大学や専門学校を卒業してすぐにその働き方をするのは難しいでしょう。そのため、まずは企業でエンジニアとしての経験を積むことが大切です。
エンジニアになるメリット・デメリット
エンジニアにはさまざまな分野があるため、業務内容によってメリットやデメリットも異なります。ここでは、ITエンジニアと工学系エンジニアに分けて、メリットとデメリットを紹介します。
ITエンジニアになるメリット
ITエンジニアになるメリットは主に次のとおりです。
- 身につけたスキルを活かせる
- プロジェクトが完了すると達成感を得られる
- 業務内容によってはテレワークも選べる
- 求人数が多いため、転職がしやすい
- スキルや経験によっては高収入を得られる
- 独立して働くこともできる
ITエンジニアは多くの企業で求められている職種です。そのため、スキルや経験があれば、就職や転職の際にも有利になります。また、システムやウェブサイトの開発は、プロジェクトが完了するたびに大きな達成感を得られる業務です。優秀なエンジニアであれば高収入を得ることも可能なほか、テレワークやフリーランスなど、自分に合う働き方を選べる点もメリットといえます。
ITエンジニアになるデメリット
ITエンジニアには以下のようなデメリットがあります。
- 業務が多忙になりやすい
- 常に新しいスキルを身につける必要がある
- 納期に合わせて業務を進めなければならない
- 長時間座りっぱなしの作業になる
ITエンジニアは専門のスキルを必要とする仕事なので、人手不足に陥っているケースも少なくありません。その分、スキルを持った一人のエンジニアに業務負担が偏ってしまう可能性があります。さらに、納期に間に合わせなければならないため、時期によっては多忙になりがちです。ただし、働き方は企業やエンジニアによっても変わってきます。ITエンジニアは転職がしやすく、フリーランスで働いている人も多いため、自分で働き方を選ぶことも可能です。
工学系エンジニアになるメリット
工学系エンジニアはITエンジニアと同様、専門的なスキルを活用できることや転職しやすいことなどがメリットです。さらに、社会の役に立つものを作って、社会貢献することができるという達成感があります。近年では、機械やロボットが医療・福祉の分野でも活用されています。また、IT技術の活用により業務を効率化させ、生産性の向上や人手不足の解消に大きく貢献できます。そのため、仕事に対するやりがいを感じられる仕事といえます。
工学系エンジニアになるデメリット
工学系エンジニアも専門職であるため、業務が多忙になりやすく納期に追われる可能性があります。また、常に新しい技術の習得が求められるため、覚えることが多い点にも注意が必要です。ただし、ITエンジニアと同様、就職や転職がしやすいため、自分に合う働き方ができる企業を選ぶことができます。
エンジニアの給与はどれくらい?
エンジニアの給与は専門分野や雇用形態によって変わってきます。2023年7月時点の「求人ボックス給料ナビ 求人統計データ」によると、エンジニア種別の給与平均は下記のとおりでした。参考にしてみてください。
種別 | 正社員(平均年収) | 派遣社員(平均的時給) | アルバイト・パート(平均時給) |
---|---|---|---|
機械エンジニア | 483万円 | 1,800円 | 1,028円 |
ITエンジニア | 485万円 | 2,281円 | 1,187円 |
Webエンジニア | 549万円 | 2,198円 | 1,000円 |
インフラエンジニア | 520万円 | 2,285円 | 1,102円 |
セキュリティエンジニア | 589万円 | 2,583円 | – |
ロボットエンジニア | 473万円 | 1,753円 | – |
機械設計 | 483万円 | 1,800円 | 1,028円 |
エンジニアの給与は他の職種の平均年収よりも高い傾向があります。ただし、年収の幅は300万円台から1,000万円台と広く、就職先の企業やエンジニアとしてのスキルによって年収に差が出ます。さらに、地域によっても給与が異なり、東京や神奈川県、千葉県などの関東圏は全国でもエンジニアの給与が高い水準となっています。一方で、北海道・東北や甲信越・北陸地方では、給与水準が比較的低い傾向です。地域によってはそもそも求人数が少ない場合もあるため、エンジニアとして就職するなら大都市圏が有利といえます。
エンジニアに向いている人の特性
エンジニアは専門的な知識や技術だけでなく、さまざまな特性を兼ね備えていることが必要です。ここでは、エンジニアに向いている人の特性について見ていきましょう。
モノづくりに興味がある人
エンジニアの仕事はモノづくりで企業や社会に貢献することです。そのため、モノづくりにやりがいを感じられる人が向いています。
進みたい業界や技術に興味がある人
エンジニアにはさまざまな分野があるため、将来進みたい業界や技術が明確な人のほうが特定のスキルを身につけやすいといえます。自分なりに将来のエンジニア像をイメージしてみましょう。
論理的思考ができる人
システムやWebサイト、製品の開発には論理的思考力が求められます。論点を整理して理解したり、問題を解決したりする能力が必要です。
継続的に学ぶ姿勢のある人
ITやモノづくりの技術は日々進歩しています。そのため、エンジニアには常に最新の技術や知識を身につけようとする意欲が必要です。継続的に学ぶことで、新しいアイデアが生まれやすくなるでしょう。
柔軟な考えを取り入れられる人
既存の枠にとらわれずに柔軟に考えられることも重要です。新しい知識や技術をモノづくりに取り入れることで、これまでにない新たな製品の開発につながるかもしれません。
コミュニケーション能力がある人
エンジニアはチームでプロジェクトを進めていくことが多い職種です。また、顧客の要望を聞き、商品やサービスの開発に取り入れていかなければなりません。そのため、エンジニアには高いコミュニケーション能力が求められます。
エンジニアになるには・エンジニアのなり方
エンジニアとして活躍するには、必要とされる知識やスキルを身につけることが大切です。専門的な知識やスキルだけでなく、分野ごとに必要とされる工学(エンジニアリング)以外の知識も必要です。例えば、ITエンジニアがECサイトの開発をする場合、システムやプログラミングの知識だけでなくWebマーケティングの知識も必要となります。Webマーケティングの知識があることで、より集客力の高いシステムやサービスを構築することが可能です。
エンジニアに資格は必要?
エンジニアは資格がなければなれないというわけではありません。しかし、資格を持っていることで就職に有利になる可能性はあります。ここでは、エンジニアにおすすめの資格を紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITの基本的な知識や技能を持ったエンジニアが対象です。高度IT人材を目指すエンジニアが多く取得しています。
ITパスポート
ITパスポートも基本情報技術者試験と同様、ITの基本的な知識や技能があることを証明できる資格です。ただし、基本情報技術者試験よりも出題範囲が狭いため、ITパスポートのほうが取得しやすくなっています。
応用情報技術者試験
基本情報技術者試験よりもさらに高いレベルを求める場合は、応用情報技術者試験を取得しましょう。応用情報技術者試験では管理や経営などの知識も問われるため、将来プロジェクトのリーダーとして活躍したい人におすすめです。
システムアーキテクト
システムアーキテクトは情報システムや組み込みシステムの設計に必要な知識が問われる資格です。システムエンジニアとしてレベルアップしたい人におすすめです。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、経済産業省認定の国家資格「情報処理技術者試験」の一つです。ネットワークエンジニアやインフラエンジニアを目指す人におすすめです。
情報セキュリティスペシャリスト
情報セキュリティスペシャリストは、情報セキュリティ機能の開発を専門とする人が対象となります。難易度が高い試験ですが、合格すると情報セキュリティのプロとして活躍できるでしょう。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、データ管理者として蓄積されたデータを適切に管理するために求められる資格です。企業が取り扱うデータの適切な管理が求められる中、多くの企業で評価されています。
オラクルマスター
オラクルマスターはデータベースの管理に必要な技術を証明できる資格です。ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つのレベルがあります。
まとめ
エンジニアはIT系と技術系に分けられ、それぞれ分野ごとに必要な専門知識やスキルも変わってきます。そのため、自分の興味がある分野や将来のエンジニア像を明確にした上で進学先を選ぶことが大切です。エンジニアの中でも特にIT分野は人材不足が続く一方で、高い需要が見込まれています。就職を有利に進めるためにも、大学や専門学校などで高いスキルと専門的な知識を身につけることがおすすめです。さらに、自分の知識やスキルを証明するために、資格を取得するとより就職に有利になります。
進路ナビでは、システムエンジニアを目指せる大学や専門学校を紹介しています。システムエンジニアになるためのスキルや専門知識が身につけられるため、以下のページから大学や専門学校を探してみましょう。
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