SDGs(持続可能な開発目標)は、世界が直面するさまざまな課題を解決するために2015年に国連で採択された国際目標です。貧困の撲滅から環境保護まで、幅広い分野での行動を促し、2030年までに持続可能な未来を実現することを目指しています。この記事では、SDGsの概要とその達成に向けた日本の具体的な取り組みについて詳しく見ていきます。
SDGsの概要と目的
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で全会一致で採択された世界共通の目標です。これらの目標は、2030年までに貧困や不平等、環境問題など、地球規模で抱えるさまざまな課題を解決することを目指しています。SDGsは17の大きな目標(ゴール)と、それを具体的に実行するための169のターゲットで構成されており、全ての人々がより良い生活を送れるようにすることが基本的な目的です。
SDGsの理念とは
SDGsの中心にある理念は「誰一人取り残さない」という考え方です。これは、すべての人が平等に生きる権利を持ち、どの国や地域、あるいはどんな状況にある人であっても、持続可能な開発の恩恵を受けられるようにするという目標を掲げています。この理念は、貧困に苦しむ人々や、不平等や差別によって不利な立場に置かれている人々にも、しっかりと支援の手を差し伸べ、より良い未来を築いていくという強い意志を表しています。
SDGsの17の目標とは?
SDGsは、世界が直面している多様な課題を解決するために定められた17の目標で構成されています。これらの目標は、貧困や飢餓の解消、環境保護、経済成長、そして平和の実現など、幅広い分野を網羅しています。すべての人が持続可能で幸福な未来を築くために、欠かせない指針です。
目標1: 貧困をなくそう
あらゆる形態の貧困を終わらせることを目指すのが、この目標です。極度の貧困を撲滅し、すべての人々が基本的なニーズを満たすために必要な資源やサービスにアクセスできるようにすることが求められています。貧困の撲滅は、他のすべての目標を達成するための基礎となる重要な課題です。
目標2: 飢餓をゼロに
全ての人が十分で栄養価の高い食料を得られるようにすることが、この目標の狙いです。持続可能な農業を推進し、食料の安全保障と栄養の改善を目指しています。特に、農業の生産性を向上させることで、飢餓を撲滅し、すべての人々が健康的な生活を送れるようにします。
目標3: すべての人に健康と福祉を
すべての人が健康で幸福に過ごせる社会の実現を目指すのが、この目標です。疾病の予防や治療、母子保健の改善、保健医療サービスへの普遍的なアクセスを確保することが求められています。また、健康を守るための環境づくりや福祉サービスの充実も重要です。
目標4: 質の高い教育をみんなに
すべての人に公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進することがこの目標の目的です。教育は貧困の連鎖を断ち切る重要な手段であり、すべての子どもが男女の区別なく教育を受けられる環境を整えることが求められています。また、職業訓練や成人教育の機会の拡充も含まれます。
目標5: ジェンダー平等を実現しよう
すべての女性と女児が平等に社会に参加し、エンパワーメントされることを目指しています。ジェンダーに基づくあらゆる差別をなくし、女性が教育、雇用、政治参加などの分野で平等な機会を得られるようにすることが求められています。また、女性に対する暴力の根絶や、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)へのアクセス確保も重要な課題です。
目標6: 安全な水とトイレを世界中に
すべての人々が安全で手頃な価格の水と衛生施設を利用できるようにすることを目指しています。清潔な水と適切な衛生環境は、健康的な生活の基本的な要件です。水資源の持続可能な管理や水質の改善、特に農村部や貧困地域でのトイレ設備の普及が重要な課題となっています。
目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々が手頃で信頼できるクリーンエネルギーにアクセスできるようにすることを目指しています。再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の向上を促進し、環境に優しいエネルギー供給を確保することが求められています。これにより、気候変動への影響を軽減し、持続可能な開発を支えるエネルギーインフラを構築します。
目標8: 働きがいも経済成長も
包摂的で持続可能な経済成長を促進し、すべての人々に働きがいのある仕事を提供することがこの目標の主な目的です。若者や女性、障害者を含むすべての人が人間らしい仕事に就く機会を得られるようにすることが重要視されています。また、経済成長とともに、環境への配慮や労働条件の改善も求められています。
目標9: 産業と技術革新の基盤をつくろう
持続可能な産業の発展と技術革新を推進し、それを支える基盤となるインフラを強化することを目指しています。特に、災害に強いインフラの整備や、環境に配慮した産業の発展を支援することが求められています。また、科学技術の研究開発を進め、それらを活用した新しいビジネスの創出も目指します。
目標10: 人や国の不平等をなくそう
国内外の不平等を是正し、すべての人々に平等な機会を提供することを目指すのがこの目標です。特に、経済的な格差や社会的な差別を解消し、すべての人が社会で公平に扱われることが求められています。さらに、国際的な協力を通じて、途上国や小規模国の開発支援を行い、世界的な不平等を減らすことも重要です。
目標11: 住み続けられるまちづくりを
誰もが安心して住める持続可能な都市を作ることを目指しています。具体的には、住居の提供やインフラ整備、公共交通機関の改善が含まれます。また、災害に強いまちづくりや、環境に配慮した都市計画も重要な要素です。これにより、都市と地方が共に発展し、誰もが住み続けられる社会を実現します。
目標12: つくる責任 つかう責任
持続可能な生産と消費のパターンを確立することがこの目標の主な目的です。資源の効率的な利用や廃棄物の削減、再利用の促進が求められています。また、企業や消費者が環境に配慮した選択を行い、持続可能な社会を築くための責任を果たすことが重要です。
目標13: 気候変動に具体的な対策を
気候変動への対応を強化し、緊急の対策を実施することを目指しています。気候変動はすべての国や地域に影響を与える重大な課題であり、温室効果ガスの削減や気候変動への適応策の推進が必要です。また、国際協力を通じて、気候変動に脆弱な地域への支援も行います。
目標14: 海の豊かさを守ろう
海洋とその資源を持続可能な方法で保全し、利用することを目指しています。海洋は地球全体の環境に大きな影響を与える重要な資源であり、過剰な漁業や海洋汚染を防ぐための取り組みが求められています。また、海洋生態系の保護や海洋酸性化の影響を軽減するための対策も重要です。
目標15: 陸の豊かさも守ろう
森林や生物多様性を保護し、土地の劣化を防止することを目指すのがこの目標です。森林は気候変動の抑制や生物多様性の保護に重要な役割を果たしており、違法伐採の防止や森林再生の促進が求められています。また、土地の劣化や砂漠化の進行を抑え、持続可能な農業や土地利用を推進することも重要です。
目標16: 平和と公正をすべての人に
平和で包摂的な社会を実現し、すべての人が司法にアクセスできるようにすることを目指しています。暴力や紛争、腐敗をなくし、法の支配を確立することが求められています。また、すべての人々が基本的な人権を享受できる社会を築くために、平和構築やガバナンスの強化が重要です。
目標17: パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの目標を達成するためには、グローバルなパートナーシップを強化することが必要です。各国政府、国際機関、企業、NGO、市民社会など、さまざまなステークホルダーが協力し、資金や技術の提供、知識の共有を通じてSDGsを推進します。共通の目標に向かって連携し、持続可能な未来を築くための力を結集することが求められています。
SDGs達成に向けた日本の取り組み
日本は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、さまざまな取り組みを進めています。政府主導の戦略策定から、地方自治体や企業、個人の取り組みまで、広範なアプローチが展開されています。日本国内でどのような取り組みが行われているのか、詳しく見ていきましょう。
SDGs推進本部の設立と「SDGs実施指針」の策定
日本政府は、2016年5月に「SDGs推進本部」を設立しました。この本部は、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚がメンバーとして参加しており、年2回の会合が開かれています。
まず、2016年12月に「SDGs実施指針」を策定し、日本国内の中長期戦略を明確にしました。この指針では、17のゴールを日本の社会、経済、環境に合わせて8つの優先課題に再構成し、それに基づいて各省庁が具体的な施策を進めています。
ジャパンSDGsアワードの創設
2017年には、「ジャパンSDGsアワード」が創設され、SDGs達成に向けた優れた取り組みを行う企業や団体が表彰されるようになりました。このアワードは、SDGs推進における国内の取り組みを「見える化」し、さらなる行動を促すことを目的としています。
対象は企業だけでなく、NPOや教育機関、地方自治体も含まれており、幅広い分野でSDGsの推進が進められています。
SDGs未来都市の選定と地方創生
2018年からは、「SDGs未来都市」として、地方自治体が提案する優れたSDGsの取り組みが選定され、地方創生を促進する取り組みが始まりました。
このプログラムでは、地域独自の持続可能な発展モデルを作ることが目指されており、選ばれた都市には資金面での支援が提供されています。これにより、地方でもSDGsに基づく持続可能な開発が推進され、地域経済の活性化と環境保全が同時に進められています。
SDGサミットを開催
2019年のG20大阪サミットでは、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提唱され、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた国際的な取り組みが推進されました。
また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を含む保健分野での国際協力も積極的に行われており、保健システムが脆弱な国々への支援を通じて、グローバルな健康安全保障の強化が図られています。
参照:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組 | 外務省
SDGsに対して一人ひとりができること
SDGsの目標を達成するためには、政府や企業だけでなく、一人ひとりの行動が非常に重要です。日常生活の中で、例えばプラスチック製品の使用を減らしたり、地元で生産された食品を選んだりすることが、持続可能な社会の実現に貢献します。さらに、エネルギーの節約やごみの分別リサイクルなど、環境に配慮した行動を心がけることで、環境保護に直接的な影響を与えることができます。
また、SDGsの取り組みを広めるためには、周囲の人々と情報を共有し、行動を起こすことが重要です。たとえば、SNSで環境問題に関する情報を発信したり、地域の清掃活動に参加したりすることで、より多くの人々にSDGsの重要性を伝え、共に行動する仲間を増やすことができます。
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