返さなくていい奨学金って本当にあるの?

「奨学金って、聞こえは良いけど結局は借金だよね?」「卒業後、返せるかどうかが不安で奨学金を利用できない…」そんな風に考えている人も多いのではないでしょうか?

近年、政府主導の給付型奨学金や授業料支援制度が整備されつつありますが、それでも日本の奨学金の多くは貸与型(=借りるタイプ)であり、返済義務があるお金が中心です。

しかし、実際には“返さなくてよい”奨学金制度も多く存在しています。奨学金について正しい情報を知り、必要な費用を抑えて進学を実現しましょう!


これが本命!? 給付型奨学金

給付型奨学金は、“返さなくてよい”奨学金の代表格です。採用されると、返済不要で一定額が支給されます。

ただし、成績・生活態度・健康状態・家庭の経済状況など、審査基準はやや厳しく、学校の推薦が必要な場合や、指定された地域や分野の学生のみ対象の場合もあります。事前に奨学金実施団体に条件を確認し、早めに準備を始めましょう。

給付型奨学金を提供する団体は、地方公共団体、学校、公益法人、企業など多岐にわたります。特に市区町村単位での制度が多く、地元役所などに問い合わせるのがおすすめです。


キミも使えるかも!免除・減免型奨学金

免除・減免型奨学金は、入学金や授業料の全部または一部が免除される制度で、学校独自に設けられていることが多く、給付型に比べて採用条件が緩やかです。

例としては、成績優秀、資格取得、スポーツ・芸術の実績、家族が卒業生など。意外な条件で対象になることもあるので、志望校の奨学金制度を詳しく調べておきましょう。


高等教育の修学支援新制度

2020年(令和2年)に始まった「高等教育の修学支援新制度」は、経済的理由で進学が難しい学生を支援する制度です。

対象:

  • 世帯収入の目安が約380万円以下の家庭の学生(家族構成によって異なるため、日本学生支援機構のシミュレーターで確認を)
  • 文部科学省が「確認大学等」として認定した学校に進学した学生

支援内容:

  • 授業料等の減免
  • 給付型奨学金の支給(年間約91万円)

誰でも対象になるわけではないため、必ず自身が当てはまるかを確認しましょう。


デメリットを超えるメリットあり?返還免除制度

返還免除制度とは、一定の条件を満たすことで、貸与された奨学金の返済が免除される制度です。

例:

  • 看護師:資格取得後、指定病院に数年間勤務すると返還が免除される
  • 医療・福祉分野:地方自治体が定めた施設で働くことが条件
  • 医学部:地方枠入試に附随する「修学資金」制度など

デメリット(就職先の制限、退職時の一括返還義務など)もある一方で、資格取得と学費負担の軽減を両立できるメリットがあります。


代わりに返してくれる!企業返済支援制度

近年、奨学金を借りて進学した学生に対して「返済支援制度」を設ける企業が増えています。

企業側のメリット:

  • 優秀な人材確保
  • 定着率向上
  • 社会貢献やブランディング効果

主な支援の方法:

  1. 毎月の返済額の一部を給与に上乗せ
  2. 一定期間勤務後に、まとまった金額(例:100万円)を支援

地方自治体による支援制度(例:京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」)と連動している企業もあります。


職業別 ゼロ円進学の方法

「どの制度が自分に合っているか分からない…」という人向けに、進路別の“ゼロ円進学”モデルを紹介します。

「看護師」をめざしてゼロ円進学!

  • 「看護師」をめざしてゼロ円進学!
  • 平均学費(看護専門学校・3年制):約250〜350万円
  • 主な支援制度:
  • 都道府県の「看護師等修学資金貸付制度」
    • 月額:最大7.5万円
  • 卒業後、指定医療機関で7年間勤務すると返還免除

「介護士」をめざしてゼロ円進学!

  • 平均学費(介護福祉士養成校・2年制):約180〜250万円
  • 都道府県の「介護福祉士修学資金貸付制度」
    • 月額:最大5万円
    • 入学準備金:最大20万円
    • 国家試験受験対策費用:最大4万円
    • 就職準備金:最大20万円
  • 指定施設で一定期間(原則2年間)働けば全額返還免除!

介護分野では人手不足が深刻なため、支援制度が充実しています。資格取得後すぐに働きたい方、地域に貢献したい方におすすめです。


「保育士」をめざしてゼロ円進学!

  • 平均学費(短大・2年制):約200〜250万円
  • 保育士修学資金貸付(都道府県や自治体)
    • 月額:最大5万円
    • 入学準備金:最大20万円
    • 国家試験対策費:最大4万円
    • 就職準備金:最大20万円
  • 卒業後、指定施設に5年間以上勤務すれば返還免除

待機児童問題により保育士のニーズは全国的に高く、就職先の見つけやすいため、経済的に進学しやすい分野のひとつです。


「地域貢献」型でゼロ円進学!

地方自治体が行っている、特定分野の人材確保のための奨学金や修学資金制度も活用する価値があります。

例:

  • 医療職・福祉職など特定職種向け
  • 卒業後、地元に一定年数勤務することが条件
  • 奨学金全額免除 or 支度金・住宅手当つき

具体例:

  • 神奈川県:地域医療医師修学資金貸付制度(産科、小児科、麻酔科、外科、内科、救急科、脳神経外科及び総合診療を担う診療科を担当する医師が対象)
  • 高知県:介護福祉士等修学資金
  • 島根県:「ふるさと」看護奨学金貸与生

将来的にUターン・Iターン就職を考えている人、地方で働きたい人にとって非常にメリットが大きい制度です。

地方自治体の「看護師等修学資金」などとの併用も可能で、進学費用を抑えられます。ただし、勤務先や勤務年数に制限があるため、事前にしっかり制度内容を確認しましょう。


その他の最新情報更新点

  • 高等教育の修学支援新制度は2025年度も継続中で、制度の詳細は文部科学省や各学校のウェブサイトで最新情報を随時確認しましょう。