eスポーツを学ぶには?進学先の選び方や関連する職種、役立つ資格を紹介

コンピューターゲーム(ビデオゲーム)を使った競技「eスポーツ」。競技人口は世界で1億3,000万人と言われており、世界中で大きな盛り上がりを見せています。将来の進路を考えている学生さんの中には、子どもの頃からゲームが好きで、将来はeスポーツの仕事に就きたいと考えている人もいるでしょう。動画サイトでプロゲーマーの活躍を見て、eスポーツに興味を持った人もいるかもしれませんね。
eスポーツ業界には、プロゲーマー(プレイヤー)をはじめ、イベント運営や広告、マーケティングなど様々な種類の仕事があります。将来、eスポーツ関連の仕事に就くためにはどんな学校に進学すれば良いのか、就職に有利な資格があるのか、気になりますよね。
この記事ではeスポーツ業界に興味のある学生さんに向けて、eスポーツについての基礎知識、eスポーツに関連する仕事や資格、eスポーツを学べる学部を紹介します。ぜひ、今後の進路を考える際の参考にしてみてください。
参考:eスポーツが熱い!|コラム 暮らし|からだスマイルプロジェクト

eスポーツとは?

eスポーツ(e-sports)とは、Electronic Sports(エレクトロニック・スポーツ)の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った競技のことです。今、世界中で最も注目を集めている競技で、世界の競技人口は1億3,000万人を突破。日本でも2025年には1,200万人を超えると予測されています。

eスポーツ発展の歴史

eスポーツの歴史は古く、1970年代にはアメリカでテレビゲームの大会が開催されていました。1990年代に入り、インターネットの普及によってゲームのスポーツ化が加速。2000年代には「eスポーツ」という言葉が使われ始め、2000年代後半以降、本格的に注目されるようになりました。2010年代には、eスポーツの市場規模が急拡大し、世界中でプロeスポーツ選手が活躍しています。日本でも2018年に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、日本企業もeスポーツチームとスポンサー契約を結ぶなど、eスポーツ業界へ参入を進めています。

eスポーツが注目されている理由

2023年には、eスポーツの世界市場規模は13.8億ドルに達し、2025年には18.7億ドルに達すると予想されています。ではなぜ、ひと昔前までは遊びの一つでしかなかったコンピューターゲームがここまで注目を浴びているのでしょうか。
eスポーツ人気が加速している理由として、ゲームに親しみのある世代が保護者世代になっておりファン層が拡大したことや、Nintendo Switch、PlayStationなどが世界中で楽しまれていることなどが挙げられます。さらに、ファンやプレイヤーが増えたことでスポンサーを集めてビジネスとして展開できる環境が整ってきたことも大きいでしょう。このような要因が重なり、eスポーツ業界は現在の盛り上がりを見せているのです。
参考:2030年までのeスポーツ市場規模、シェア、予測

eスポーツの種目

eスポーツの競技種目は、下記のように様々です。

種目概要ゲームタイトル例
FPS/TPSシューティングゲーム。一人称視点(FPS)と第三者視点(TPS)に分類される。没入感を楽しめる。Apex Legendsなど
MOBAチームを組んで協力し合いながら相手陣地の制圧を目指すゲームで、世界で最も盛り上がっているジャンル。高額賞金の大会も多い。League of Legendsなど
RTS軍隊などの指揮官になり、戦略や戦術を競い合うゲーム。StarCraftなど
格闘ゲーム一人で一人のキャラクターを選び、格闘技で対戦するゲーム。日本人が活躍しているジャンルの一つ。大乱闘スマッシュブラザーズなど
DCGデジタルカードゲーム。Shadowverseなど
スポーツリアルスポーツをビデオゲームにしたもの。FIFA など
パズルゲームテトリスなどルールが分かりやすく誰でも楽しめるゲーム。ぷよぷよ など

上記の中でも今世界で最も盛り上がっているのがMOBAと呼ばれるジャンルです。League of Legendというゲームの世界の競技人口は約9000万人とされており、これはテニスプレイヤーに匹敵するほどのものです。

eスポーツに関わる仕事

将来はeスポーツに関わる職に就きたいけれど、具体的にどんな仕事があるの?と疑問に思っている学生さんもいるでしょう。
ゲーム関連の仕事と言っても職種は様々。自分の興味や得意分野を考えてどんな仕事をしたいかをイメージすることがポイントです。ここではeスポーツに関わる仕事について紹介します。

CGデザイナー/CGクリエイター

CGデザイナーやCGクリエイターは、専用ソフトを使ってCG(コンピューターグラフィック)を作成する仕事です。CG技術はゲームだけでなく、TVや映画、印刷物、建築、医療など幅広い分野で利用されており、活躍の場は広がっています。リアルなCG映像を制作し、非日常的な世界観を作り上げることがゲーム業界で働くCGデザイナー、CGクリエイターのやりがいです。

Webデザイナー

Webデザイナーは、画像や文字、音声などを用いてWebページをデザインし、制作する仕事です。Webページの美しさや使い勝手の良さを考慮してレイアウトを考えます。ゲーム業界で働くWebデザイナーは、公式サイトのデザインや待受・バナー・アバターといった素材の作成や、ゲームに組み込むグラフィックデータ作成など、ゲームに関するあらゆるWeb作業を担当します。

ゲームプランナー/ゲームデザイナー

ゲームプランナーやゲームデザイナーは、ゲームの具体的なストーリーやコンセプトを考えて、基本設計を行う仕事です。企画を立案したあとは仕様書を作成し、プログラマ、グラフィックデザイナー、サウンドクリエイターなどに制作を依頼します。自分が企画したゲームが世に出ていき、たくさんの人に楽しんでもらえることはゲームプランナー、ゲームデザイナーの大きなやりがいです。

ゲームプログラマ

ゲームプログラマは、ゲームデザイナーが作った仕様書に沿ってプログラミングを行う仕事です。動作テストや不具合が起きた場合の修正、リリース後の改善なども担当します。プランナーやデザイナー、サウンドクリエイターなど多くのスタッフと協力しながらゲームの開発を進めていくため、プログラミング技術だけでなくコミュニケーションスキルやクリエイティブなセンスなども求められます。

サウンドプログラマ

サウンドプログラマは、作曲された音楽をコンピューターを使ってデジタル化する仕事です。音楽以外にも、効果音から登場人物の声、機器の操作音まで様々なデジタルサウンドを作ります。また、音の強弱や重なり方、停止のタイミングなどをゲームと連動するように音を作り上げます。サウンドはゲームのクオリティーを左右する大切な要素。ゲームの世界観を音の効果で表現していくサウンドプログラマは、ゲーム開発に欠かせない存在です。

Webプロデューサー

Webプロデューサーは、Webサイト制作をとりまとめる責任者です。Webサイトのコンセプトやユーザー層の設定、スケジュール管理、制作チームの編成、マーケティングなどサイト制作業務全般を担当します。WebプロデューサーはWeb制作の最高責任者のため、プログラマやWebデザイナー、Webディレクターなどの実務経験を積んだあとに目指すことが一般的です。

参考:マルチメディア・ゲーム・eスポーツ – 主な仕事

eスポーツ関連4つの資格

eスポーツに関わる仕事には様々な種類があることが分かりましたね。学生さんの中にはゲーム業界に就職する際に役立つ資格や有利になる資格が気になる人もいるかもしれません。ここでは、eスポーツに関連する主な資格として下記の4つを紹介します。

  • CGエンジニア検定
  • CGクリエイター検定
  • Webクリエイター能力認定試験
  • マルチメディア検定

それぞれの資格について紹介します。

CGエンジニア検定

CGエンジニア検定とは、CG(コンピューターグラフィック)分野の開発や設計を行うエンジニア、プログラマの知識や技術を認定する試験です。画像処理やソフトウェア開発、システム開発を行うためのスキルが問われます。試験にはベーシックとエキスパートの2種類があり、両者とも受験資格はありません。CGスキルが身につくため、ゲーム業界をはじめ、ITやWeb系企業への就職に役立つでしょう。

CGクリエイター検定

CGクリエイター検定とは、映画やゲーム、アニメーション、CMなどのCG制作や映像制作の知識や技術を認定する試験です。試験にはCG理論の理解など基礎知識を問われるベーシックと、専門的かつ応用的な知識を問われるエキスパートの2種類があります。いずれも受験資格はないため、誰でも受験することができます。資格があることで、ゲーム会社や映像制作会社へ就職する際や、フリーランスのCGデザイナーとして独立する際に有利になるでしょう。

Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験とは、Webページを制作するためのクリエイター能力があるかどうかを認定する検定です。見やすく使いやすいWebサイトを作ることができるかが問われます。試験にはスキルに応じてスタンダードとエキスパートの2種類があり、両者とも受験資格はありません。就職の際に有利に働くこともあるため、Webクリエイターを目指す人におすすめの資格です。

マルチメディア検定

マルチメディア検定は、マルチメディア全般に関わる総合的な知識、スキルを測る試験です。マルチメディアとは、文字や画像、動画、音声など複数の種類の情報を組み合わせて取り扱うメディアのこと。具体的な例としては、携帯電話やスマートフォン、TV、電子書籍などが挙げられます。受験資格はなく、基礎知識を問うベーシックと応用スキルが求められるエキスパートの2種類に分かれています。ゲーム業界を始め、IT、Web業界へ就職する際に役立つでしょう。

eスポーツの魅力

eスポーツ関連の仕事には多種多様な職種があることが分かりました。eスポーツ人気はとどまる所を知らず、今後もさらなる盛り上がりが予測されています。では、どうしてeスポーツがこんなに注目されているのでしょうか。ここではeスポーツの魅力や面白さについて解説します。

世界中のプレイヤーと競い合える

eスポーツの魅力の一つとして、世界中のプレイヤーと競い合えることが挙げられます。今やコンピューターゲームを取り巻くマーケットは世界規模。Nintendo SwitchやPlayStation 2は世界全体で累計1億台以上売れています。つまり、世界中の人々が同じゲームを楽しんでいるということです。日本にいながらもアメリカやイギリス、メキシコ、エジプトといった海外の人々とオンラインで一緒に楽しむことができるのはeスポーツの大きな特徴です。

場所を問わずプレイできる

場所を問わずにプレイできるのもeスポーツの魅力です。野球やサッカーなどのリアルスポーツは球場やコートなどプレイする場所が限られており、会場に行く必要もありました。しかし、eスポーツはテレビやゲーム機、コントローラーなどがそろっていればどこにいてもプレイすることができます。このようなリアルスポーツとは違う手軽さも、eスポーツの魅力の一つでしょう。

性別や年齢問わず参加できる

eスポーツは画面上で競技を行うため、性別や年齢を問わず参加することができます。リアルスポーツと違い、体格や力も関係ないので、大人と子どもでも対等に遊ぶことが可能です。またゲームによっては障がいのある人でも健常者と一緒に楽しむことができるでしょう。このように多様な人々が参加できる点もeスポーツの大きな魅力です。

eスポーツで身につくスキル

eスポーツは野球やサッカーとは違い、身体を動かすものではないため、「スポーツではなく、ただの遊び」とみなされてしまうことも多いでしょう。しかし、今やeスポーツは将棋やチェスと同じ「マインドスポーツ」の一種。プレイを通して得られるスキルはたくさんあります。ここではeスポーツで身につくスキルについて紹介します。

ネットリテラシー

ネットリテラシーとは、インターネットを理解し、正しく利用できる能力のこと。eスポーツはオンラインで行うものなので、必然的にネットリテラシーが求められます。インターネットには便利な情報がある一方で、危険なことや正しくない知識も存在します。さらに全世界に公開されるので、一度発信してしまった情報は取り消せません。インターネットを正しく利用するスキルはこれからの時代を生き抜くために欠かせないものです。

情報処理能力

情報処理能力もeスポーツで養われる力の一つです。eスポーツは、画面に表示される情報を素早く処理しながら行います。敵・味方の位置、戦況、マップ、アイテムの残存数など自分の置かれた状況を常に把握し、臨機応変に対応していかなければなりません。eスポーツをすることで、周りの状況を把握する能力や、情報を瞬時に理解して処理する能力が身につくでしょう。

論理的思考力

eスポーツは対戦相手に勝つために試行錯誤するため、論理的思考力を身につけることができます。論理的思考力とは、複雑な物事を筋道立てて考える力のこと。対戦に負けてしまった際に、「何がいけなかったのか」「次はどうすれば良いのか」を考えることで、感情ではなく、論理的に物事を考える力が養われます。

コミュニケーション能力

「北米教育eスポーツ連盟(NASEF)」の研究により、eスポーツはコミュニケーション能力を向上させることが判明しました。eスポーツはチームメイトと協力しながらプレイする機会も多くあります。話し合いながらゲームを進めていく中で、自分の意見を相手に伝えたり、相手の意見を受け入れたりすることで、必然的にコミュニケーション能力を身につけられるのです。

eスポーツを学べる学部

eスポーツ関連の仕事に就くために、文系・理系のどちらに進めば良いのか、またeスポーツについて学べるのはどんな学校が良いのかと悩んでいる学生さんも多いでしょう。
eスポーツを学ぶための進路は、大学・短期大学、専門学校、独学など、様々な選択肢があります。中でも「e-スポーツ専門学校」「ゲーム専門学校」「IT専門学校」などの専門学校ではeスポーツのスキルを短期間で習得できます。
eスポーツ業界には様々な職種があるため、まずは「ゲーム関係のどんな仕事をしたいのか」ということを決めてから学部・学科を探すと良いでしょう。
ここでは進路選びの参考になるよう、eスポーツを学べる学部について紹介します。

eスポーツ学部

eスポーツ学部ではeスポーツ業界で活躍できる技術・知識を身につけることができます。職種ごとのコースに分かれており、プロゲーマーを目指す人はゲーミングスキルを、イベント企画・運営に携わりたい人はビジネススキルを学ぶことができるでしょう。

ゲーム学部

ゲーム学部では、ゲーム会社の採用職種に合わせて実践的なスキルを学ぶことができます。プログラミングや企画・シナリオ設計、キャラクターデザイン、ゲームグラフィック、ゲームサウンド・BGMなどコースは様々です。目指す職種に必要な力を身につけられます。

情報学部

情報学部では、AI活用やデータ分析、サイバーセキュリティ対策、人間中心のシステムデザインなど、先端IT技術を学びます。プログラミングやコンピューターなどの基礎や実践スキルを身につけられるので、就職先の選択肢も広がるでしょう。

スポーツ学部

スポーツ学部は、eスポーツに限らずあらゆるスポーツについて学べる学部です。医療やビジネス、教育、福祉など様々な観点からスポーツを探究していくことで、豊かな教養と高度な専門性と実践スキルが身につきます。

このようにe-スポーツを学ぶための進路には様々な選択肢があります。
「進学ナビ」では、将来就きたい職業から進路や進学先を探すことが可能です。進路の選択肢を広げることで、自分に合った進学先が見つけやすくなります。ぜひチェックしてみてくださいね。

e-sports選手|職業ガイド

eスポーツを学ぶための進路選びは進路ナビで!

国や性別、年齢を問わず楽しめるeスポーツ。楽しいだけでなくネットリテラシーやコミュニケーション能力など現代社会に欠かせないスキルを身につけることができます。eスポーツに関連する職種はたくさんあるため、eスポーツ業界への就職を考えている学生さんは、自分がどんな仕事をやってみたいかをベースに進路を考えると良いでしょう。
「e-スポーツ」を学べる学科が用意されている学校は、大学や専門学校の専攻やカリキュラムを調べてみないと分かりません。まずは「進路ナビ」の学校検索機能を利用して資料請求を行うと、各項の詳しいパンフレットを取り寄せる事が可能です。
他にも、「進路ナビ」では、「興味のある分野」や「通学希望エリア」を選ぶだけで、進路アドバイザーから無料でおすすめの学校情報をお届けします。進路について悩んでいる、興味のあることを勉強するための選択肢がわからないという人も是非ご活用ください。進路ナビが紹介する、eスポーツについて学べる専門学校はこちらです。

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