幼稚園教諭になるために必要な資格は?仕事内容や将来性、進路の選び方を解説

子どもが好きな学生さんの中には「将来は幼稚園の先生(幼稚園教諭)になりたい」「保育や幼児教育に関連する仕事に就きたい」と考えている人も多いでしょう。幼稚園教諭になる夢を叶えるために、大学と短大どちらに行けば良いのか、専門学校でも資格が取れるのかなど進路の選択に悩みますよね。この記事では幼稚園教諭を目指している学生さんに向けて、幼稚園教諭に必要な資格や具体的な仕事内容、年収、向いている人の特徴などについて紹介します。ぜひ将来の進路選びの参考にしてみてくださいね。

幼稚園教諭について

まずは幼稚園教諭になるまでの道のりや必要な資格、保育士との違いについて理解を深めていきましょう。

幼稚園教諭になるまで

幼稚園教諭とは、3歳から小学校就学前までの子どもの幼児教育を行う仕事です。遊びや製作、運動、音楽など様々な活動を通して子どもの社会性や主体性を伸ばし、心身の成長をサポートします。高校卒業後、幼稚園教諭になるための一般的な道のりは下記の通りです。

幼稚園教諭になるまでの流れ

幼稚園教諭になるには、幼稚園教諭免許状が必須。免許状を取得後は各自治体や私立幼稚園で実施されている採用試験に合格することで、晴れて幼稚園教諭として働くことができます。幼稚園教諭を目指している学生さんは、まずは幼稚園教諭免許を取得できる大学・短大・専門学校へ進学することを目標にしましょう。

幼稚園教諭に必要な資格

幼稚園教諭免許状には、一種・二種・専修の3種類があります。いずれも取得すれば幼稚園教諭として働くことが可能ですが、取得する方法や取得後の待遇などに違いがあります。それぞれの免許状の違いについて表にまとめました。

免許状の種類取得方法特徴
幼稚園教諭一種免許状4年制大学で決められた単位を修得する園長になれる
幼稚園教諭二種免許状短大・専門学校で決められた単位を修得する園長になれない
幼稚園教諭専修免許状大学院修士課程を修了する園長になれる

一種免許状、二種免許状、専修免許状の大きな違いは、「取得方法」と「園長になれるかどうか」です。園によっては一種または専修免許状を取得していると二種免許状を持っているよりも給料が高いケースもあります。将来的に園長を目指したい、なるべく良い待遇で働きたいと考えている方は一種免許状か専修免許状を取得しておくと良いでしょう。また幼稚園教諭免許状は大学・短大・専門学校に通う以外にも、保育士として3年以上の実務経験を積み、幼稚園教員資格認定試験に合格することで取得することもできます。

幼稚園教諭と保育士の違い

幼稚園教諭と似ている仕事として保育士があります。両者は「就学前の子どもの成長を支援する」という点では同じですが、働く場所や必要資格、預かる年齢、保育の目的など様々な違いがあります。参考までに、幼稚園教諭と保育士の違いを下記の表にまとめました。

幼稚園教諭保育士
働ける場所幼稚園、認定こども園保育園、認定こども園、児童福祉施設など
必要資格幼稚園教諭免許状保育士資格
対象年齢3歳~就学前0歳~就学前
保育の目的適切な環境のもと幼児教育を行うこと親が仕事や病気で家庭保育ができない乳幼児の保育・教育を行うこと

幼稚園教諭は、両親が働いているかどうかに関係なく3歳以上の子どもを対象に幼児教育を行います。一方保育士は、両親が日中働いている、または病気で家庭保育ができない子どもの保育・教育を行います。業務内容としては、幼稚園教諭は教育的な指導がメインで、保育士は教育的指導+生活面のサポートというイメージです。保育士資格は大学・短大・専門学校に通うほか、国家試験に合格することでも取得できます。幼稚園教諭免許状を取得できる学校の中には、保育士資格も同時に取れるところが多いです。幼稚園教諭を目指すのであれば、両方の資格を取得しておくことで将来の選択肢が広がるでしょう。

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幼稚園教諭の仕事内容

幼稚園教諭に興味のある学生さんの中には、「幼稚園の先生って子どもと一緒に遊ぶ以外にどんなことをするの?」と疑問を持っている人もいるかもしれません。ここからは、幼稚園教諭の仕事内容について詳しくみていきましょう。

1日の流れ

まずは幼稚園教諭の1日の流れを紹介します。

時間内容
8:00出勤
・その日に行う活動の準備
・園庭や園内の掃除、整備
9:00園児が登園
・受け入れ
・出席確認
10:00・カリキュラムに沿って設定した活動
12:00昼食
・配膳、片付け
・歯磨き指導
13:00自由遊び
・遊びの環境を用意
14:00園児が降園
・保護者対応
15:00翌日の準備や事務作業
・書類作成
・製作物の準備
・会議や園外研修
・園内の掃除、整備など
17:00退勤

幼稚園教諭は、日中は子どもたちの興味や発達に合った活動を行い、降園後はその日の活動内容や子どもの様子を振り返りながら記録を取ったり翌日の指導計画を立てたりします。時には園全体で会議を行ったり近隣の学校園との合同研修会に参加して勉強したりすることも。子どもの姿は毎日変化・成長するので、日々丁寧に一人ひとりの様子を見ながら園生活の中で社会性・人間性を育むことができるよう指導を行います。
なお上記の表は一般的な例なので、園によって1日の流れは異なります。夕方までの預かり保育を実施している園では、昼食後にお昼寝やおやつの時間があるでしょう。送迎バスを運行している園では登降園時にバスの添乗も行います。

具体的な業務

幼稚園教諭の1日の流れでも見たように、幼稚園教諭は子どもへの教育を行うこと以外にも書類作成や行事の企画など様々な仕事があります。幼稚園教諭の具体的な業務内容の例を挙げてみました。

  • 子どもの教育(運動遊び、歌、ダンス、お絵描き、製作、ゲームなど)
  • 指導案(教育カリキュラム)の作成
  • 活動の計画、準備
  • 園内の環境整備
  • 行事の企画、進行
  • 保育記録やお便りなど書類作成
  • 保護者対応
  • 送迎バスの添乗

中には英語教育や音楽のレッスンに力を入れている園もあり、幼稚園教諭は勤務する園の特色に合わせたカリキュラムの作成や指導を行います。また3歳児クラスではオムツが外れていない子がいればトイレトレーニングを行ったり、5歳児クラスでは卒園を見据えて小学校と交流をしたりと、担当する年齢によっても業務内容は変わってきます。このように幼稚園教諭の業務内容は幅広く、多岐に渡るということを知っておきましょう。

幼稚園教諭の就職先・活躍の場

幼稚園教諭の就職先・活躍できる場を紹介します。

幼稚園

幼稚園教諭の就職先と言えば、多くの方が幼稚園をイメージするでしょう。幼稚園は教育機関の一つで、3歳〜就学前までの子どもが通う施設です。幼稚園には市区町村が運営している公立園と社会福祉法人などの民間業者が運営している私立幼稚園があります。公立幼稚園で働くためには自治体の採用試験で合格、私立幼稚園で働く場合は各園の採用試験で合格する必要があります。

認定こども園

待機児童問題の解消や少子化対策の一つとして誕生した認定こども園も幼稚園教諭が活躍できる場所です。認定こども園は幼稚園と保育園の機能を併せ持った施設で、0歳から就学前までの子どもが通っています。幼稚園と同じく公立園と私立園があり、それぞれ採用試験の形式が異なります。なお認定こども園で働く人は「保育教諭」と呼ばれ、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っている必要があります。将来的に認定こども園で働きたい方、幼稚園教諭としての活躍の場を広げたい方は保育士資格も取得しておきましょう。

幼児教室

幼稚園教諭は民間の幼児教室で働くことも可能です。幼児教室で働くために幼稚園教諭免許状が必須というわけではありませんが、子どもの発達や幼児教育について専門的な知識があることの証明になるので有利になるでしょう。幼児教室には知育系や音楽系、芸術系、スポーツ系など様々な種類があります。幼児教室に就職することで、幼児教育に関する専門家として音楽やスポーツなど自分の得意なスキルを活かしながら働くことができます。

幼稚園教諭の将来性について

近年、女性の社会進出や共働き世帯の増加によって幼稚園教諭・保育士のニーズは急増しています。夕方までの預かり保育を実施する幼稚園も増え、保育園と幼稚園両方の機能をあわせ持った認定こども園も年々施設数を増やしています。こういった背景から幼児教育に関する専門的な知識・スキルのある幼稚園教諭は今後も需要の高い仕事と言えるでしょう。幼稚園教諭の免許があれば、幼稚園だけでなく幼児教室などで働くこともできるので子どもに関わる仕事のプロとして長く活躍していけます。
また認定こども園や保育園、企業内保育施設、その他児童福祉施設で働きたいと考えている人は、幼稚園教諭免許と一緒に保育士資格も取得しておくと就職先の幅が広がるでしょう。子どもに限らず人の成長や生活をサポートする仕事に興味がある人は、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの道もおすすめです。

幼稚園教諭の給料・年収相場

将来の職業を考える際に無視できないのが給与額です。近年、ニュースなどで幼稚園教諭や保育士の給料の低さが取り上げられていることが多いですが、実際の平均年収はいくらなのでしょうか。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果によると、幼稚園教諭の平均年収は約400万円でした。同調査によると、労働者全体の平均賃金は約310万円。幼稚園教諭の年収は労働者全体の平均よりは高くなっています。しかし幼稚園教諭の給料は仕事量の多さや人の命を預かっているという重い責任を考えると十分ではないという意見も多くあり、人手不足も深刻です。そこで政府は幼稚園教諭や保育士の賃金のベースアップを図るため、様々な政策を実施しています。例えば2022年2月からは、幼稚園教諭や保育士の給料を3%引き上げる措置を実行。共働き世帯の増加や女性の社会進出により、幼稚園教諭や保育士の需要は年々高まっているため、今後より働きやすい環境が整っていくことが期待されます。

幼稚園教諭に向いている人

幼稚園教諭に興味がある学生さんの中には、自分は幼稚園教諭に向いているのか疑問を抱いている人もいるかもしれません。ここからは幼稚園教諭に向いている人の特徴を紹介します。

子どもが好き

幼稚園教諭は毎日大勢の子どもたちと接する仕事であり、「子どもが好き」であることは、幼稚園教諭として働く中で最も大切な要素と言えるでしょう。幼稚園教諭は子どもたちと積極的に関わることはもちろん、成長をサポートするためにどんな活動をすれば良いのかを考えたり個々に合わせた声かけや指導を行ったりと、クラスの子どもたち一人ひとりと向き合う姿勢が必要です。時には大変なこともありますが、子どもが好きという気持ちがあればきっと乗り越えていけるでしょう。

明るくて前向き

明るくて前向きな性格の人は幼稚園教諭に向いていると言えます。幼稚園教諭は仕事やプライベートで辛いことがあっても子どもたちの前では常に笑顔でいることが大切です。子どもは大人の感情を敏感に察知するので、疲れた顔を見せてしまうと子どもたちも不安に感じてしまいます。落ち込むことがあってもすぐに気持ちを切り替えて、ポジティブに過ごせるスキルがあれば幼稚園教諭として働く際に役立ちます。

コミュニケーション力がある

コミュニケーション力がある人は幼稚園教諭の適性があると言えるでしょう。子どもと信頼関係を築くには、毎日の保育の中で一人ひとりの姿を丁寧に観察し、個々の性格や特性に合った声かけや関わり方を心がけることが大切です。また、保護者には日々の子どもの様子や些細な変化をこまめに伝えることで安心感を持ってもらえるでしょう。さらに、園の職員同士のチームワークも良質な保育・教育を行うためには欠かせません。コミュニケーション力があり、人間関係を築くことが得意な人は、周りから信頼される幼稚園教諭になれるでしょう。

体力に自信がある

体力に自信がある人も幼稚園教諭に向いています。幼稚園教諭は、毎日元気いっぱいの子どもたちと走ったり踊ったり歌ったり、活発に遊ぶ仕事です。またプール掃除や行事の準備など、力仕事もたくさんあります。さらに小さい子どもの集団生活ということもあり、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症も広まりやすい職場環境です。幼稚園教諭として働くためには、ある程度体力が備わっていることが大切です。

幼稚園教諭を目指す学校の選び方

幼稚園教諭になるためには、幼稚園教諭免許状が必要です。幼稚園教諭免許状を取得するためには、高校卒業後、文部科学省認定の教育課程を持つ大学、短大、専門学校に進学するルートが一般的。「学校教育コース」や「子ども心理学科」など、学校ごとに様々なコース・学科があります。各学校の教育課程を履修した後、文部科学省に申請することで免許状を取得できます。
なお、上記の「幼稚園教諭に必要な資格」で紹介したように、4年制大学では「一種免許状」、短大・専門学校では「二種免許状」と、進学する学校によって取得できる免許状の種類が異なります。それぞれの免許状の特徴を把握し、「将来どんな幼稚園教諭になりたいのか」「免許取得にどれくらいの費用がかかるのか」などを考えながら、自分に合った進路を選択しましょう。

幼稚園教諭免許状を取得できる学校を探そう

幼児教育のプロとして3歳〜就学前までの子どもたちを支える幼稚園教諭。共働き世帯の増加や女性の社会進出などで就学前教育の需要が高まっており、幼稚園教諭のニーズは今後も増加すると考えられます。幼稚園教諭になるには幼稚園教諭免許状が必須で、進学する学校によって取得できる免許状の種類が異なるので、自分がどんなキャリアを築きたいかを考えて進路を選びましょう。また、幼稚園教諭免許状と同時に保育士資格も取得することで、将来的な活躍の場を広げることができるでしょう。

「進路ナビ」では、幼稚園教諭を目指せる大学や専門学校を紹介しています。幼稚園教諭免許状を取得できる専攻があるかどうかは各学校のカリキュラムを調べてみないと分かりません。まずは「進路ナビ」の学校検索機能を利用して資料請求をすることで、各校の詳しいパンフレットを取り寄せることができます。

他にも「進路ナビ」では、「興味のある分野」や「通学希望エリア」を選ぶだけで、進路アドバイザーから無料でおすすめの学校情報をお届けします。進路について悩んでいる、興味のあることを勉強するための選択肢がわからないという人も是非ご活用ください。

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