「履歴書の志望動機が思いつかない…」「他の人と同じような内容になってしまう…」
そんな不安を抱えている高校生のために、今回は高卒就職で人気のある職種別に、志望動機の書き方、使える例文、そして書く際のテクニックをまとめました。
志望理由作成の基本的な考え方
まず最初に、志望理由を書く際に押さえておくべき3つの視点を紹介します。
①「なぜその職種なのか」を明確にする
志望理由の核となるのは、「なぜその職種を選んだのか」という動機です。仕事内容の魅力ややりがい、自分の性格との相性などをもとに深掘りしましょう。
例:「人の役に立つ仕事がしたい」「ものづくりに関わりたい」「接客が好き」など
②「なぜその企業なのか」を調べて伝える
企業研究は非常に大切です。パンフレットや公式サイト、説明会などから得た情報をもとに、企業のどこに魅力を感じたのかを具体的に記載しましょう。
例:「地域密着型で安心感がある」「未経験でも研修が充実している」「福利厚生が整っている」など
③「自分の経験や性格」とつなげて説得力をアップ
部活動、アルバイト、学校生活など、あなたの経験や性格を交えて書くと、志望理由にリアリティと説得力が増します。
例:「部活動で身につけた集中力を活かしたい」「人と接することが好きなので接客に挑戦したい」
この3つの視点をベースにして、次は実際に志望理由を組み立てていきます。志望理由は単に「この仕事がしたい」と伝えるだけでは不十分です。自分の経験・性格・価値観と、その職種や企業の特徴をどう結びつけるかが鍵になります。
会社の担当者に「刺さる」志望理由の作成ステップ
志望理由をただ「思いつき」で書くのではなく、順序立てて組み立てることが重要です。以下の3ステップで考えてみましょう。
A「3ステップ構成」で自然な流れをつくる
志望理由は、次のような過去 → 現在 → 未来の流れで組み立てると自然で説得力が出ます。
- 過去(きっかけ):興味を持った出来事や体験
- 現在(共感):企業のどこに魅力を感じているか
- 未来(意欲):どのように働きたいか、将来像
例文構成テンプレート:
「(きっかけ)中学生の頃に家族が入院した際、病院で働く看護助手の姿を見て、医療の現場に興味を持ちました。
(共感)中でも貴院は患者さんへの声かけや笑顔の対応が印象的で、自分もそんな存在になりたいと思いました。
(未来)将来は患者さんに安心してもらえるようなサポート役として活躍したいと考えています。」
B「エピソード」でオリジナリティを出す
「人の役に立ちたい」だけでは他の人と同じ印象になってしまいます。自分だけのエピソードや体験談を交えることで、ぐっと説得力が増します。
具体例:
×「人の役に立ちたいから介護士になりたいです。」
〇「祖母の介護を手伝っていたとき、感謝の言葉をもらい、人の役に立てる喜びを感じました。」
ポイント:
- アルバイト・部活動・家庭での経験もOK
- 小さな体験でも感情がこもっていれば◎
C「企業研究」をして“その会社ならでは”の理由を入れる
企業ごとの特徴(経営理念、社風、取り組みなど)に触れると、「この会社に入りたい」という熱意が伝わりやすくなります。
使える情報:
- 会社HPの「採用情報」「代表メッセージ」「スタッフ紹介」など
- 学校に届いている企業パンフレット
- 学校訪問や会社見学での印象
例文の工夫:
「地域密着でお客様との関係を大切にしている点に魅力を感じました」
「社員教育に力を入れており、成長できる環境だと思いました」
D「将来の目標」で前向きな姿勢をアピール
面接官は「入社後に長く働いてくれるか」「どんな成長を目指しているか」も見ています。学ぶ意欲や長期的な目標を盛り込むことで、前向きな印象になります。
NG例:
「とりあえず働いてみたいと思いました」
OK例:
「資格を取得して、将来的には後輩に教えられる存在になりたい」
「現場で経験を積み、ゆくゆくはリーダーとしてチームをまとめたい」
E「敬語・丁寧語」で信頼感を出す
内容が良くても、言葉づかいが適切でないと印象を落とす原因に。
です・ます調+敬語で社会人らしい表現を心がけましょう。
改善前:
「そこの会社は人間関係がよさそうで、働いてて楽しそうだと思いました」
改善後:
「貴社は社員同士の関係が良好で、働きやすい職場環境が整っていると感じました」
F「具体性」でぼんやりを防ぐ
抽象的な言葉(やりがい、魅力、成長したい)だけでは伝わりません。何に、どう感じたのかを具体的にしましょう。
NG:
「成長できそうだから」→ どんなスキルを、どうやって成長させたい?
OK:
「人と接するスキルを高めるために、接客経験を重ねながら学びたい」
G「文字数は200〜300字前後」がベスト
長すぎると読みにくく、短すぎると内容が薄くなりがち。履歴書では200〜300字程度を目安に、1分程度で読める分量が理想です。
志望理由は「自分らしさ×企業への理解」が最も大事です。
- 「どこでも通じる志望理由」ではなく、「この会社だからこそ」という視点を。
- 自分の体験や気持ちをベースに、相手の会社と接点を持たせることが大切。
- テクニックを活用して、「本気でここに入りたい」想いを伝えましょう。
【職種別】志望理由の具体例 (製造業・販売職・介護職・事務職)
高卒就職で人気の高い職種を取り上げながら、具体的な例文とともに、書き方のヒントをご紹介します。文章の構成や表現方法にも注目しながら、自分自身の志望理由を組み立てる参考にしてみてください。
① 製造業(ものづくり)
志望理由の書き方のポイント
- 正確さ・集中力・根気といった特性とつなげる
- 製品や企業の技術力への興味を具体的に述べる
志望理由例
1.
中学生の頃からプラモデル作りに夢中になり、細かい作業に集中することが得意です。貴社の工場見学では、整った作業工程と高精度な製品づくりに感動しました。特に社員の方々が一体となって丁寧に仕事を進めている様子を見て、私もその一員として働きたいと強く思いました。将来は、自分の技術力でミスのない製品づくりに貢献できる人材になりたいです。
2.
技術の授業で金属加工を体験し、自分の手でモノをつくる楽しさを知りました。完成までの工程にこだわるほど、完成品に対する達成感が大きく、ものづくりの仕事に就きたいと考えるようになりました。特に貴社の製品は国内外で高い評価を得ており、その技術力に魅力を感じました。集中力と丁寧さを活かして、高品質な製造に貢献したいです。
3.
工場見学で拝見した、熟練の方々の正確な手作業やチームワークに深く感動しました。私は手先が器用で細かな作業に没頭できるタイプです。製造の現場で「信頼される仕事」をすることが目標です。ミスのない製品づくりを支える一員として、自分の力を少しずつ伸ばしていきたいと考えています。
② 販売職(接客・小売)
志望理由の書き方のポイント
- 「人と接するのが好き」「人の役に立ちたい」を軸に展開
- その店舗や企業を選んだ理由を明確に(雰囲気・商品・サービスなど)
志望理由例
1.
文化祭で模擬店の接客を担当した際、お客様から「ありがとう」と言われた経験がとても印象に残っています。それ以来、人と関わる仕事に興味を持ちました。中でも貴社の店舗はいつも店員の方が明るく丁寧に対応されており、自分もあのようにお客様に安心感を与えられる存在になりたいと感じました。笑顔と気配りを大切にしながら、接客スキルを磨いていきたいです。
2.
家族とよく通っていた貴店は、スタッフの対応が丁寧で、いつも気持ちよく買い物ができました。「こんな店員になりたい」と思ったのが接客の仕事を目指すきっかけです。人と話すのが好きで、相手の立場を考えることを心がけています。お客様に安心してもらえるよう、常に笑顔と感謝を忘れずに仕事に取り組みたいです。
3.
スーパーでのアルバイトでお客様から「助かったよ、ありがとう」と言われた瞬間に、人の役に立てる仕事の楽しさを実感しました。特に貴社はお客様目線のサービスに力を入れており、スタッフの接客にも一体感があると感じました。今後は、より多くの人に笑顔を届けられる販売員になれるよう努力し、店舗の一員として貢献していきたいです。
③ 介護職(福祉)
志望理由の書き方のポイント
- 人の役に立つことがやりがいという軸を中心に展開
- 家族や身近な人の介護経験がある場合は好印象
志望理由例
1.
祖母が入院していた際に介護職の方が丁寧に接してくださった姿を見て、自分も人の支えになる仕事がしたいと思うようになりました。ボランティアで高齢者の話し相手をしたとき、「話せてうれしい」と言われたことが忘れられません。貴施設の「寄り添う介護」という考え方に共感し、利用者の方々に安心と笑顔を届けられる介護職を目指したいです。
2.
小学生の頃から祖母の介護を手伝ってきました。できることは少なかったですが、「ありがとう」と言ってもらえた経験が嬉しく、人の役に立つ仕事に興味を持ちました。介護職は体力も必要だと思いますが、それ以上に心の支えになる存在だと思います。貴施設で一人ひとりに寄り添い、信頼される介護職員を目指していきたいです。
3.
福祉の授業で高齢者の暮らしについて学び、「介護」はただの作業ではなく、信頼関係の中で成り立つ大切な仕事だと知りました。人と関わるのが好きで、よく「聞き上手だね」と言われます。貴施設の「家庭的な雰囲気づくり」に共感し、利用者の方が安心して過ごせるよう、思いやりの心を大切にして働いていきたいです。
④ 事務職(一般事務・営業事務など)
志望理由の書き方のポイント
- コツコツ作業・正確性・サポート役への関心を軸に
- 学校生活での役割(書記・委員会など)を結びつける
志望理由例
1.
高校では生徒会書記として議事録作成や資料整理を担当し、正確にまとめる作業にやりがいを感じていました。もともと整理整頓が得意で、細かい作業にも根気強く取り組める性格です。貴社の事務職は電話応対やデータ入力など幅広い業務があり、自分の強みを活かせると感じました。チームの一員として支える役割を担い、信頼される事務職を目指したいです。
2.
授業で学んだパソコン操作や簿記の知識を活かしたいと思い、事務職を志望しました。特に貴社は、業務が多岐にわたる分、周囲との連携が大切になると知り、協調性を重視する自分に向いていると感じました。細かい作業にも集中して取り組めるので、丁寧さと責任感を武器に、職場を支える存在を目指したいです。
3.
文化祭の実行委員で会計を担当した経験から、データ整理や裏方で支える役割にやりがいを感じました。人前に出るより、正確さや丁寧さが求められる作業が自分に合っていると感じています。貴社の事務職は幅広い業務があり、成長できる環境だと思いました。日々の仕事を通じて、信頼される存在になりたいです。
まとめ
志望理由は単なる作文ではなく、あなたがどんな人で、なぜその仕事を目指すのかを伝える大切な自己PRの場です。
「自分の言葉」で伝えることができれば、きっと担当者の心に届く志望理由になります。
志望理由には“型”があります。
「職種への思い」+「企業への魅力」+「自分の強み・活かせること」
この流れを意識し、自分の経験や気持ちを重ねていくことで、自然とあなたにしか書けない志望理由が完成します。
焦らず、しっかりと自分と向き合って書くことが、内定への第一歩です。