大学生の就職活動が3月から本格的に始まる。
2027年卒の求人状況は、高い求人倍率が続き、
学生にとって有利な「売り手市場」の継続になると予想されている。
2月13日の朝日新聞に「広がるAI 変わる採用のカタチ」という記事が掲載されていた。
「生成AI(人工知能)の普及が、企業の採用活動に影響を及ぼし始めた」
と記述されていた。その影響とは、
「AIの使用で就活生が提出するエントリーシート(以後ES)の記入内容の均質化が進み」
ESでは個性が見えづらくなったので、
「書類選考を取りやめ、応募者全員を面接に切り替えた企業が出てきた」
のである。
意外な効果として、
「応募者が大幅に増加し、内定者も増やすことができた」企業があったというのである。
昨年ABABA総研が、
大学就活生のうち就職活動にAIを活用した学生(42.6%)を対象に
「就職活動時の生成AI活用に関するアンケート調査」を行ったところ、
6割以上が「ESの作成に利用した」と答えている。
ESの質問内容も工夫を凝らし、難易度が高くなる傾向にあり、
複数社応募する学生にとって心理的負担が大きいとの指摘もある。
生成AIに頼り、少しでも苦痛を弱めたい気持ちも分からなくもない。
生成AIの普及により、「売り手市場」の現在において
就職活動や採用活動は、転換期にあるようである。
生成AIによる高校生向けの「進路相談サービス」が次々に登場している。
就職、進学両方に対応しており「教員の負担軽減」を掲げるサイトもある。
従来、就職希望者に関しては、求人票や企業のホームページ、職場見学の感想、
親近者からの情報、進路指導担当教員のアドバイスによって、希望する就職先を決めていた。
しかし、近い将来「生成AI先生」に進路相談し、希望先を選定してもらい、
面接や志望理由書き方も指導されるようになるのか(これは私の妄想)。
いつでも、どこでも自己の進路を考える機会ができることは、悪いことではないが、
前述した大学生のESのように個性がなくなったと評価されるのが心配である。
急速に教育現場に導入され、その活用方法も試行錯誤中であると思われる。
教育指導や進路指導全般を生成AIに担わせることはないと思うが、
確実に「教員の負担軽減」に貢献する。ただし、ファクトチェックは確実にしてほしい。
文部科学省の「生成AI に関するガイドライン」の「人間中心の原則」では、
「生成AIを人間の能力を補助、拡張し、
可能性を広げてくれる有用な道具になり得るものと捉えるべきである。
その上で、出力はあくまでも「参考の一つである」 ことを認識するとともに、
リスクや懸念を踏まえつつ、最後は人間が判断し、責任を持つことが重要である」
と述べられている。生成AIの活用により、自己に隠された個性を発見し、
最後は自分で判断する力を養ってもらいたい。
就職活動や採用活動、進路指導は時代の変化を捉え、
柔軟に対応することが今後の必須になると考えられる。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う
