私の好きな言葉に
「大切なのは疑問を持ち続けることです。好奇心それ自体に存在理由があるのです」
があります。これはアインシュタインの言葉なのですが、
これって勉強の本質を突いていると思いませんか。
日常生活の中で、「これ、何となくおかしい」と思うことがあるでしょう。
そんなとき、「?」と思ったのに
「いや、これは当たり前のことなんだ。自分がバカなだけなんだ」
とその疑問から目をそらせてしまったり、
疑問に蓋をして「こうすればいいんだ」と教えられるまま、
唯々諾々に従っていたりするようでは、何も変わりません。
世の中の「当たり前」に呑み込まれてしまうだけです。
ところで、当たり前って何でしょう。
実は、今や「世の中の当たり前」は全てコンピュータの中にあります。
というのも、社会のあらゆる情報がビッグデータとしてAIに吸収され、
その結果としてAIの示す当たり前が世の中の当たり前になってしまうからです。
私は、勉強とは「?を見つける力をつける」ことだと思っています。
ただ、そのためには「地図にない道を歩くには、最初に地図が必要」なのと同じように、
先ずその基になる知識が必要です。しかも、それは一つの方向に偏ったものではなく、
いろいろな方向に広がった知識でなければなりません。
そんなさまざまなベクトルに導かれた知識が化学反応を引き起こすことによって、
「?」を見つけることができるようになるからです。
そして、心の底から「?」と思うことが見つけられたなら、
その「?」を「!」に変える力は自ずと湧き出てきます。
だから、大切なのは疑問を持ち続けることです。
好奇心それ自体に存在理由があるのです。
ところが、当たり前がAIに支配されてしまった今では、知らず知らずのうちに
「AIに示された考えを自分の考えだ」と思い込まされてしまっているように思います。
当たり前が、本当に当たり前なのか「?」と思うこと、
そこに現代を生きる人間の存在価値があるのではないでしょうか。
そのために必要なもの、私はそれが学校教育の中にあると考えます。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam5/