ある高校で行われた進路相談会。私は総合相談コーナーを担当していました。
そこにやってきたのは、通信制高校に通う、少し派手で個性的な4人組の生徒たちでした。
「こんにちは! 今、何年生? どんなことに興味があるの?」
そう声をかけると、少しずつ心を開いてくれた様子でした。
その中の一人の生徒が言いました。
「学校にもなかなか通えないし、大学にも進学したいけど……通えるかどうか心配で……」
言葉の端々に、不安や自信のなさがにじんでいました。
何か過去に辛い経験があったのかもしれません。
そんな彼女たちに、私は自分の経験を話してみました。
「私は3人の子どもがいるの。上の2人はもう社会人で、一番下の子は専門学校の2年生。
みんな運転免許を持っていて、車で出かけることも多いのね。
最初は心配だったよ。事故を起こさないか、ぶつけないか……いろんなことを考えてしまって。
でもね、あるときふと思ったの。
“心配って、まだ起きていないことを自分の頭の中だけで想像してるんだ”って。
目に見えない不安に、自分で自分を縛っていたんだなって気づいたの。
だから、私は『心配』することをやめて、『大丈夫』って思うようにしたの。
そうしたら、気持ちがすごく楽になったよ」
その話を聞いた彼女の表情が、ふっと明るくなりました。
「そうだよね。私も心配しすぎないようにする! ありがとうございます」
他の生徒も、目に涙を浮かべながら、
「そんなふうに考えるなんて、思いつきもしなかった」と話してくれました。
「これから、きっとたくさんの経験をするよ。
嬉しいこと、楽しいことだけじゃなく、悔しいこと、つらいこともあると思う。
でも、それは全部“成長の材料”になる。
たとえば、お友達に嫌なことを言われたとしたら、
その言葉は“人を傷つける言葉なんだ”って学んでほしい。
試合に負けたなら、次はどうすれば勝てるかを考える“チャンス”にしてほしい。
何かに失敗しても、それを“成長できるきっかけ”に変えられるかどうかは、
自分の考え方次第なんだよ」
環境が変わると不安になることもあるかもしれません。
でも、どんな経験も未来につながる大切な一歩です。
どうか、自分のペースで一歩ずつ進んでください。
【プロフィール】
三児の母。1999年ライセンスアカデミーを退職。当時は千葉県を担当。
第三子が中学校入学と同時に、2018年復職。現在は東京23区担当。
学生時代は女子サッカー部所属。
全日本学生選手権(大学インカレ)への出場経験あり。