総合学科において活用される諸制度の最終記第5回目は、
「転・編入学についての積極的な受入れ」である。
今回の転学は、普通科・商業科や工業科などの専門学科に入学した生徒が、
不本意入学、学んでいる科目が合わないなど「学校になじめない」理由で、
前任校に籍をおき転学試験に合格すれば転校する制度である。
編入学は中途退学後、やはり高校は卒業したい、大学に進学したい、
就職したが社会の厳しさを知り高等学校に再度就学したい生徒に対して、
積極的に受け入れ、学ぶ機会を保障する。
中途退学での中学卒を減らす制度である。
さて、中途退学者調査を始めた昭和57年度、最大の平成2年度、令和6年度の
中途退学者数と主たる理由である。
中途退学者数 / 進路変更 / 学校生活・学校不適応
昭和57年度 106,041 人 / 17.8 % / 19.2 %
平成2年度 123,529 人 / 38.9 % / 26.6 %
令和6年度 44,571 人 / 41.5 % / 35.0 %
総合学科の具体像を報告した第四次答申(平成5年2月)以前は、
中途退学者問題が社会問題であった。その対策として総合学科高校が誕生した。
本テーマは、社会問題の対策の一つとして、一人でも多くの子どもや成人者が
就学する機会を得るための制度ではある。しかし、本制度を活用して、
総合学科全日制に普通科(全日制・定時制)・専門学科(全日制・定時制)からの
転学・編入学は、全国的に皆無に等しい。
原因は、中途退学者等が総合学科をよく知らない、
相談を受けた学校の教員、学習塾の教員等も総合学科の転学・編入学制度を知らないために、
定時制・通信制サポート校等を勧める。
全日制出身者が定時制や私立の通信制サポート校への再入学は、かなりハードルが高い。
再入学者に限らないが、学習面・教員や在籍生徒との対人関係等の
悩み解決へのカウンセリングやコーチングを計画的・継続的に実施し、
心のケアを行いながら自己肯定感を高める。
それ以上に、教育委員会や転学・編入学生徒の該当校が、
転学・編入学ができる公立・全日制・総合学科高校等を、
中学校、教育相談所、学習塾にしっかりと広報することが問われる。
【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職
