平成5年、文部省高等学校教育の改革の推進に関する会議の第四次報告は、
「総合学科においては、自己の進路への自覚を深めさせるとともに、
将来の職業生活の基礎となる知識・技術等を修得させるため、
原則としてすべての生徒に履修させる次のような内容の科目として
『産業社会と人間』、『情報に関する基礎的科目』及び『課題研究』を
開設することが適切である」と示した。
今回は、「情報に関する基礎的科目」について説明する。現在の科目「情報I」にあたる。
開設当時は、母体高校が商業高校の場合は、「情報処理」とした。
「情報に関する基礎的科目」の目標は、
社会における情報化の進展及び情報の意義や役割について理解させるとともに、
コンピュータとその活用についての基礎的な知識と技術の習得を通して、
情報を主体的に活用する能力と態度の育成を図り、
情報化社会と人間との望ましいかかわり方について認識させることにある。
当時、普通科及び総合学科は、情報Aの教員が不足しており、
夏季休業中に情報の免許取得の講習を受講、情報の免許状を有して授業を行った。
参考までに、現状における教員不足・専門知識の不足教員の補充のため、
「高等学校(情報)教員資格認定試験」が令和6年度から復活した。
情報の教員不足を補うために、
「情報系の科目を設置している工業・商業・家庭等の教員」が
免許状を取得し授業を行うため、授業がおのずと家庭科や商業科の授業と似通っていた。
教員の情報Aの学習内容の認識不足・指導力不足から、
約2か月にわたってタイピング練習をする教員が令和の時代にもいた。
教科情報の範囲は時代と共に拡大し、
ソフトウェア、プログラミング、ネットワークと多岐にわたっている。
それにもかかわらず、専門知識の不足した教員が指導を行う現状がある。
そして、教科情報の一部の教員には、
校内研修担当、ICTやネットワーク管理に関する委員や
責任者等に任命できないという状況も、その延長線上に存在する。
解決策は、数学I、数学Aで高校数学を終了した教員は、
情報の科目を担当しないことであろう。
また、情報などの専門科目の知識と技術は、陳腐化が激しい。
だからこそ、教員自らの研鑽と授業観察等で力不足と判断した教員には、
管理職からの研修への指導・助言をすることだ。
【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職