「令和7年度 高校新卒者就職状況から」筆者・青木勝美

厚生労働省から、今年度9月末現在の高校新卒者の就職状況
(令和7年度 高校・中学卒業者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況)
が発表された。
全国の高校生向けの求人数約48万3千人(前年同期比0.2%増)。
対する求職者数約12万3千人(前年同期比0.5%減)。
求人倍率3.94倍(前年同期比0.03ポイント上昇)と高倍率であった。
就職内定率も前年よりも0.1ポイント高い63.3%であった。
求人倍率や内定率を見る限り高校新卒就職環境は良好であると思われる。
しかし、30年間のデータを見ると求職者は、少子化の影響からか過去最少人数となっている。

企業からの求人数と求職者の割合である求人倍率は、
求人数が増えたとしても、求職者数が減ると数値は高くなる。
昨年度の7月末の全国平均の求人倍率は、3.91倍、
最終3月末の倍率は4.10倍(過去最高値)であるが、
求職者の人数は、7月末から3月末までの間に、約1千7百人減少している。
求人数は約1万7千人増加しているが計算式に当てはめると上記の数値になる。
求人開示が始まる7月から卒業月の3月までに求職者が減少し求人倍率が増加する現象は、
30年ほどデータを遡って見ると、ほほ毎年度の傾向であることが確認できる。
私の経験から、17年前の平成21年
(以下は、私の手元にある群馬県の資料から辿ることにする)が顕著であった。
この年は、前年に世界金融危機(リーマン・ショック)が発生し、ほぼ全世界に波及した。
日本も例外ではなく、経済活動に深刻な影響を及ぼして、雇用環境は最悪の状況であった。
群馬県内における高校新卒者の求人数は前年比52.4%と大幅な減少、
求人倍率0.82(全国平均0.72)倍となってしまった。
しかし、翌年3月には、求人倍率は1.46倍となっている。
この間、求人数は約1千1百人増えたが、求職者は約6百人も減少している。
求職者が大幅に減少したのは、希望していた職種や企業からの求人がなかったこと、
気に入った職場が見出せなったことが進路変更の理由として多かった。
求人数が増え、求人倍率が高まるのは喜ばしいことであるが、
決して安心できる数値ではないのである、

コロナ禍後、新卒者の「売り手市場」が続き、
高校新卒者においては「金の卵」と言われている。
人手不足が払拭できていない企業も多いことから、当面このような状態は続くと思われる。
11月23日付の日本経済新聞に「AI失業 就活生も警戒」なる記事が掲載されていた。
就職活動中の大学生4割が、生成AIの普及を見越して志望職種を変えたというのである。
学生は顧客対応や事務、総務、秘書、受付等の職種の雇用が減ると分析している。
世界の若者層は、就職難であるとたびたび報道されている。
その理由の一つとして生成AI普及が関連しているとの指摘がある。
わが国も、人手不足の解消に生成AIの導入は喫緊の課題である。
しかし、AI導入による急激な雇用の縮小は、後々社会不安の原因になりかねない。
雇用環境を守りながらの導入を切に願いたい。

【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う