国政選挙の投票前に各党のマニフェストを読んでみた。
経済・財政、社会保障、外交・安保、政治改革、憲法改正など
論点はさまざまであったが、国民が最も関心を寄せたのは
物価高対策であったと思う(結果については承知の通り)。
全く争点になっていなかったが、ある党のマニフェストから
「働きたい改革」なるワードを目にした。
「働きたい改革」の推進理由が次のように述べられていた。
「働く人が安心して挑戦でき、個人の意欲と能力を最大限活かせる社会を実現するため」、
さらに「人手不足の解消」をあげている。他の党のマニフェストにも、
「本人の希望に応じて、働きたいときにもう少し働ける社会へ」となっており、
具体的に「労働時間のルールの見直し」、「所得アップにつながる」と主張している。
つまり、「働きたい改革」は、2019年より順次施行されている「働き方改革関連法」の
時間外労働時間の上限を緩和させようとするものであると推測される。
昨年、物流・運送業界の「2024年問題」が話題となった。
運転手の人手不足、高齢化とともに、時間外労働時間が制限されることで、
一人当たりの走行距離が短くなり長距離の運送に支障をきたし、
物流に大きな影響がでると懸念されていた。
さまざまな工夫により対応しているようであるが、懸念の払拭には程遠いようである。
運送業関係者への実態調査によると
約58%が残業時間の減少により給与が減ったと答えている。
「働き方改革関連法」の施行から6年、労使双方の観点から見直しが必要なのかもしれない。
しかし、「働きたい改革」に関して7月16日、株式会社ワーク・ライフバランスの会見では、
「この改革の裏にあるのは、特に人手不足の業界の経営者目線での
“もっと働かせたい”という都合の良い論理」だと指摘していた。
本来は、労働者保護の法律である。改革(変更)するならば持続可能な社会実現のために、
労使の一致点を見出し、真に魅力ある会社で「働きたい」と思える改革にしてほしいものである。
高校生は夏休みに入ると、就職希望の3年生は、
公開された求人票をもとに職場訪問(就職活動)をする時期となる。
私は、職場訪問前の指導として、服装や時間厳守、訪問中の言動などの諸注意や
仕事内容の確認、会社で働く人たちの雰囲気を実際に感じてくるようにと指導している。
その他に次の二点を指示している。一つは、社内の環境をできるだけ隅々まで見ること。
社内がきれいな会社は、勤務時間や業務内容に無理がなく、健康に働ける環境であると推察される。
次に、働く人たちがきちんと挨拶を返してくれるかどうか、自分から先に挨拶をして確認すること。
社内の人間関係や雰囲気(社風)の一端を見ることができると教えている。
生徒にとって、職場訪問は「働きたい職場」「働きやすい職場」等の
魅力ある職場を見つける有効な手段であり、人生の岐路になり得る大事なものである。
企業の皆様にも何卒ご協力、ご理解をお願いいたします。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う