「『オープンカンパニー』って?」筆者・青木勝美

3月26日、群馬県渋川市の特殊鋼専業メーカである大同特殊鋼株式会社渋川工場の
「オープンカンパニー」(ライセンスアカデミー主催)に参加させてもらった。
そもそもオープンカンパニーとは、大学・短大・専門学校などが、
学年に関係なく(大学は1,2年生対象)実際に企業を訪問し、
訪問先の情報提供により、学生のキャリア形成支援を目的として実施されている
(よく上級学校で参加者募集のポスターを目にする)。
高校生対象のオープンカンパニーを実施するのは、初めてのことであると担当者から聞いていた。

さて当日、あいにくの雨にもかかわらず参加者全員(男子4名・3校)が
集合時間前に受付を済ませることができた。
このオープンカンパニーは各自の自主参加形式であり、学校からの引率者はいない。
4人の高校生は緊張の面持ちであった。
最初に、担当の方より事業内容、工場概要について説明を受ける。
その後、白衣、ヘルメット、防護眼鏡、手袋を着衣し、インカムを装着して工場見学に向かう。
製鋼、鍛造、熱処理、加工、検査の工程を見学した。
世界最大級の真空誘導炉や巨大で複雑な機械群は印象深いものであった。
また、真っ赤に熱を帯びた巨大な鋼材を加工する光景は、圧巻であった。
工程が進むにつれ、この工場で製造する具体的な製品を見ることができた。
また、この工場の周辺は住宅街に隣接しているために、騒音や排気、排水、臭気の対策のために
水質環境保全、大気環境保全に万全を期しているとの説明を受けた。
外部からでは知ることができない、さまざまなことを知ることができた。
工場見学終了後、入社直後の研修について説明があった。
手厚い新人育成に、参加者は大いに興味を持ったようである。
全て終了後、参加者全員がアンケートに「大変良かった」と評価していた。
参加者の感想は「工場内部の様子を見ることができ企業理解に役立った」
「進路の参考になった」「有意義な時間であった」と肯定的な意見であった。
また、担当の方からは、「高校生向けのオープンカンパニーは初めてであったが、
就職希望の高校生に対して、当社のことを知ってもらうことは、有意義なことである」
という言葉をいただいた。

進学希望者はこの時期、早くからオープンキャンパスに参加し
上級学校の情報を集めることができる。教室内でも、
参加した特典や入試の情報(特にAO入試や総合型選抜に関する内容)、
次に参加する学校の話題で賑やかである。
しかし、就職希望者は、新学年早々に積極的に行動し情報収集できる機会はほとんどない。
7月1日の求人票公開を待たなければ、動きが取れないと思っている生徒が大半である。
高校生の就職活動は、夏休み前後の短期間であり、
社会人としてのスタート地点を決めなければならない。
高校生活の中で何度か、企業を自ら選び参加することのできるようなイベントがあれば、
自身の進路に対する積極的姿勢を涵養することができ、
「ミスマッチ」による早期退職を防ぐ手段になると思うのだが。
今、進路に悩む高校3年生に「オープンカンパニーって知ってる」と聞いてもおそらく、
彼らの頭には“?”マークが点灯するだけであろう。
今でこそ、オープンキャンパスは一般的になっているが、
当初は同様な反応であったことを思い出す。
今後、オープンカンパニーがメジャーになることを願っている。

【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う