先日のこと、コーヒーシップの片隅で本を読んでいると、
女性たちの話し声が聞こえてきた。
私の近くの席に、若い女性4人が座っていた。
声は低く抑えられていたのだが、
連休明けの平日、店内は空席が目立っていたので、
話し声が聞こえてくるのは致し方ない。
中学か高校の同級生の集まりのようで、学校時代の同級生の消息や
当時の教師の失敗談の話題で盛り上がっていた。
話題は移り、各自の職場の話題となった。
職場の不満、仕事の不満、上司の不満を
面白可笑しく、赤裸々にぶちまけていた。
「うちはブラック」、「うちの会社もブラックに近いかな」、
「私の会社は、間違いなくパープル」と一人の女性が断言していた。
店内が混み始めたため、彼女たちの声は聞き取れなくなってしまった。
社風を色で表すようになったのはいつの頃からか。
ホワイト企業とブラック企業と呼ばれる中間の位置にある企業を
「ゆるブラック企業」と表現されていた。
最近は、黒に次いで明度が低い色が紫色であることから派生した言葉がある。
紫色は、ポジティブな面とネガティブな面の両方のイメージを持っていることから、
ちょっとおしゃれに「パープル企業」と呼称されるようになったようである。
パープル企業の特徴は、ワークライフバランスを重視し、
労働時間(残業時間含む)の管理が適性。従業員への過度なノルマや負担がない。
ハラスメントがなく職場の人間関係は良好で社内の雰囲気は良く、離職率は低い。
ここまで書けば、充分にホワイト企業であると思われる。
しかし、以下のような要素があるため“純白”にはならないようである。
業務内容は単調で楽であるが自己の成長実感が得られない。
昇給や昇進の機会が少なく、キャリア形成やスキルアップが難しく、
将来性が感じられない。
つまり、職場環境は良好で「働きやすさ」はあるが、
自己の成長につながる展望が見出せず「働きがい」がない。
これがパープル企業の課題であると考えられる。
進路指導を担った私は、学校に届く求人票はホワイト(優良)企業と考え、
選択肢を増やすために、受理した求人票のすべてを生徒に公開することを心がけていた。
生徒は夏休み前半に求人票を閲覧し、希望する企業の職場訪問をする。
そして、求人票や職場訪問の体験、
企業の情報を総合的に勘案し、志望企業を決定する。
綿密に指導したつもりでも、
短期間(1年未満)で退職してしまう卒業生は毎年数人いた。
その理由について聞いたところ、
職場の雰囲気が良くない、ノルマを課せられ苦しかった、
人間関係に悩まされていた、仕事の内容に不満があった等であった。
もっとも深刻に感じたのは「求人票と違った」との答えであった。
実際、仕事に従事しないと分からないことも多々あるが、
もう一歩、種々の媒体により情報をつかみ、
的確なアドバイスをすべきであったと反省した。しかし、事前に色分けはできない。
企業にとっても、ホワイト、パープル、ブラックと色分けされることは不愉快であろう。
また、仕事に従事する者の主観的な見方もあると考えられる。
雇用者、被雇用者双方のリスペクトが、
より重視される労働環境の構築が必要になると思う。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う
