「総合学科高校の変遷から今後の展望を考察する 14」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文

今回から、多様な生徒を受け入れている学校において、
私が長期欠席者や中途退学者の減少に直結すると受け止めている相談体制を取り上げる。
第1回目は、私が勤務したK高校が不登校対策の新しい取り組みとして
全国的に注目を集めた「パーソナルチューター(心の担任)制度」である。
本制度は、生徒がホーム担任のほかに好きな先生を選んで悩みごとなどを相談する。
学校側が決めたホーム担任と折り合いが悪いために学校離れを防ぐのが狙いだ。
「ホーム担任の枠を取っ払い、より細かい指導を」、
「生徒が先生を“逆指名”できる!」
として誕生した。

総合学科高校は、中途退学や不登校など、
これまでの教育の中では自己の能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒等、
多様な生徒を受け入れる第3の学科として誕生した。

ホーム担任は、生徒の学習をはじめとする学校生活、
家庭・職場などの精神的な悩みや課題、あるいは将来の進路や生き方や在り方などを
二者相談・三者面談で計画的に、時には突発的に行っている。
しかしながら、全ての生徒がホーム担任に心を開いて相談できるとは限らない。
ホーム担任がいくら熱心に指導しても、
決して多くはないが「担任とは合わない」生徒は存在する。
生徒自らが相談できる先生を選んだらどうですかという訳だ。
生命や人権などに係わる緊急を要する以外は、生徒のプライバシーを守り、
その都度、担任やカウンセラーには伝えないこととしていた。
相互の信頼関係のもとに、時間をかけて継続的に
「心の安心」を支援するセーフティーネットである。

「“担任を逆指名”する」、私を含め教職員からは、
ホーム担任の仕事は何なの? プライドが?? 戸惑い・驚き・不安等が起きた。
本制度の責任者が数回説明して、役割を理解してもらうことでスタートした。
当時は、ホーム担任を補完する制度であり、
学校生活に不安もつ生徒にとって心の支えとなると期待した、
重層的なケアシステムである。

【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職