「巣立つ子どもたちを見て思う ― 自立の裏側にある『経験』の大切さ ―」筆者・ライセンスアカデミー 東京チーム I.M

今年の春、次男が社会人として神戸へ引っ越しました。
新入社員全員が1年間の寮生活を送るそうで、テレビも持ち込めない小さな部屋。
「仕事が終わってもずっと部屋にいるとおかしくなりそう」と苦笑いしながらも、
一級建築士の勉強と仕事を両立しようと必死に頑張っているようです。

先日、そんな次男が久しぶりに帰京しました。
長男と娘もたまたま家にそろい、
「せっかくだから3人でご飯を食べながら飲みに行こう!」と出かけました。
社会人になった長男・次男が、
「働くってことはなあ~」と妹に話している姿を見て、
心の中で「大人になったな」としみじみ感じました。
長男は柔道整復師として接骨院の院長を務め、
患者さんを幸せにするためにどうすればいいか、
また自分の部下をどう育てていくか、
日々悩みながらも前を向いて働いているようです。
時には「こんなときどうしたらいい?」
と夜な夜な相談をしてくることもあります。
次男もまた、寮生活のなかで多くのことを学んでいる様子です。
洗濯をしていて「干してくれるんでしょ? ありがとう」
と自然に言葉が出てきたときには、
ああ、少しずつ「してもらう側」から
「感謝できる側」に変わっているのだなと感じました。

気づけば、3人とも国家資格を目指す道を歩んでいます。
長男・次男から娘に向けて「勉強してるか?」と詰め寄る様子は、
兄弟の関係性の温かさとともに、子ども同士で育ち合う姿そのものでした。
親が言うよりも、兄弟からの言葉のほうがずっと響くものです。
子どもたちはいずれ親のもとを離れ、自分の力で生きていきます。
そのときに必要なのは、「正解を教えてもらう力」ではなく、
自分で判断し、決断できる力だと思います。
その力を育てるために、私は子どもたちが幼いころから、
何でも先回りせず、失敗を経験させるようにしてきました。
嫌な思いも、痛みも、すべてが成長の糧になる、それを信じて見守ってきました。
高校生を見ていても、親や先生がつい手を差し伸べすぎてしまうことがあります。
もちろんサポートは大切ですが、「見守る勇気」、「失敗を許す余白」こそが、
本当の意味での自立を育てるのだと、子どもたちの姿を通して改めて感じました。

社会に出て、悩みながらも前に進もうとする我が子たちの姿は、
生徒たちの「未来の姿」でもあります。
教育も子育ても、「信じて待つ力」が問われているのかもしれません。
力強く、そして優しく育ってくれた3人に感謝しながら、
これから出会う若者たちにも、
「自ら考え、行動できる大人に育ってほしい」と願っています。

【プロフィール】
三児の母。1999年ライセンスアカデミーを退職。当時は千葉県を担当。
第三子が中学校入学と同時に、2018年復職。現在は東京23区担当。
学生時代は女子サッカー部所属。
全日本学生選手権(大学インカレ)への出場経験あり。