「総合学科高校の変遷から今後の展望を考察する 8」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文

平成5年、文部省高等学校教育の改革の推進に関する会議は第四次報告において、
総合学科における教育の特色を発揮し、
多様な能力・適性をもつ生徒を入学させるために、
文化・スポーツ活動、ボランティア活動等の実績を重視した
推薦入学の導入をはじめとする多様な選抜方法を工夫する方針を示した。
また、次のような制度の積極的な活用を図ることとした。
(1)単位制による教育課程編成
(2)学校間連携の推進
(3)専修学校における学習成果や技能審査の成果の単位認定の活用
(4)専門学科への転学の配慮
(5)転・編入学についての積極的な受入れ

平成元年度前後の高等学校で増え続けていた不本意入学者や中途退学者への対応策である。
本報告では、「主体的な学習」を促し、個性を最大限に伸長させ、
生涯にわたって継続的に学習する意欲や態度を育成することが求められた。
それは、人生80年時代(現在は100年といわれている)を迎え、
また、技術革新の進展等に伴い産業・就業構造が大きく変化している時代にあっては、
将来の進路についての明白な展望を見定めることが難しいなどの理由からである。

さらに、学歴偏重の考えを是正して、
青少年期に卒業した学校の学歴のみを重視するのではなく、
生涯にわたってどのような知識、技術や資格を身に付け、
どのようにして豊かな人間性を養ってきたかなどの個人の生涯にわたる学習歴が
正しく評価されるような学習歴社会を創り出していかなければならない。
「学習生涯社会への移行」という社会的背景があった。

社会の急速な変化、進路志望の多様化、中学校卒業予定者の減少の中、
否応なしに高校改革を推進する都道府県教育委員会は、
「これからの時代に求められる力を育む学校づくり」や「普通科改革」に取り組んでいる。
上記の(1)~(5)の諸制度が、確実に実施されていれば、
総合学科は低迷せず時代のニーズに応えた学校として評価された。
そして、高校改革のモデルとして注目を集めていたはずだ。残念でならない。

次回から(1)~(5)の諸制度の現状と課題を説明する。

【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職