2024年「移住希望地ランキング」(東京・有楽町 NPO法人 ふるさと回帰支援センター)
によると、窓口相談者とセミナー参加者のアンケートの結果、
群馬県がそれぞれ1位に選ばれたと、TVニュースで知事の喜ぶ姿を映していた。
数多くのセミナー開催や、窓口相談での移住相談員の方々が県の魅力を発信した成果であると思う。
毎年の都道府県魅力度ランキングでも、昨年はいつもの定位置から3つ順位を上げて、
47都道府県中41位となっている。群馬県の“認知度”が少しでも高まることを期待したい。
この認知度は、学生・生徒にとって進路選択に欠かせない要素である。
3月になれば、大学生の就職活動が始まる。
合同説明会の会場では、認知度の高い企業ブースから埋まっていく。
企業名と製品ブランド名が一致しないブースは、
残念ながらスルーされてしまう光景を度々目にしている。
高校生の進路指導もこの時期から本格的に始めるべきであるが、
高校入試や卒業式、在校生の期末試験などの準備と実施のため、
まとまった指導時間が取れないのが現状である。
私が現役教員のころ、3学期後半に、生徒各自の希望する進学先や就職先を調べる課題を出したことがある。
提出されたレポートの多くは、地元の学校や企業に偏っていた。
また、生徒と面談しても、情報量の少なさなのか、県外の大学や大企業の名前を出しても、反応が鈍かった。
生徒の視野を広げる指導が十分でなかったことを反省し、
県内外の大学および専門学校や企業の採用担当の方々に来校いただき、
学部・学科、専門学習分野、業種・業界等の説明をしていただいた。
どこまで生徒に響いたのか明確にはできないが、
生徒の進路に対する必要な姿勢・態度や、進路選択をするうえで“知ること”の重要性は、
多少なりとも伝わったと思う。
さて、2月17日付の日経新聞の1面に「若者から逃げるな」との記事が掲載されていた。
あの経営の神様と称された偉人が創業し、日本を代表する世界的な家電メーカーのP社の例が挙げられていた。
2022年のブランド調査の結果、20代のP社の認知度が53%、なんと若者の半数が知らなかったのである。
広告等を増やして立て直しを図ったが、最新の調査でも7割台であり、充分に浸透できていないようである。
この記事の趣旨は、「日本企業の製品やサービスから若者離れが目立ってきている。
それは、主に中高年をターゲットとするばかりで、
移り気な若者に対して、挑まなくなったことが原因である」と論じている。
さらに、「国は老いる。企業も老いるのか。
日本にも若者を反転のきっかけにした企業が出てきた。
若者から逃げるな。未来への種をまき続けよ」と結ばれている。
つまり、若者層に食い込むことにより、認知度は高まり、企業収益も高まる。
さらに必要な人材も集まってくるということである。
認知度を高める努力をすることが、存続に繋がる手段になると思う。
(※編注:本コラムは3月初旬に執筆いただきました)
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う