進路コラム 「ふくいく」 筆者:宇佐美 正利

進路コラム

「ふくいく」 筆者:宇佐美 正利
宇佐美 正利 2018年3月22日(木)

「服育」という言葉を初めて聞いた。
銀座・泰明小学校の制服、8万円のアルマーニである。
校長の造語かと思いきや制服会社の提唱だという。
「服はコミュニケーションであり個性や社会性を育てる」

お下がりの、つぎ当てズボンと補強したランドセル。
3年生までがひと教室に入った複式学級の分校。
机の自分の名前が読めずに立ちつくした入学式。
二日目にして登校拒否児となった身には、
「福育:裕福な家庭の教育」と聞こえたのであった。

東京オリンピックの年、小学二年生の遠足。
高級品の代名詞だったバナナを兄と半分ずつ持たせてもらった。
弁当が終わっても自分だけが食べるわけにはいかない。
どうしてもどうしても食べたくて、
「しょんべん」と叫んで木陰に走った。
一気に押し込んだバナナは味も分らず胸につかえた。
涙が滲んだ。咳き込んだせいではない。

経済的な理由で遠足に行けない児童は珍しくなかった。
 修学旅行を見送る私に「ごめんな」とうつむいていた母さん、
 あの時、僕平気だったんだよ
「日本一短い『母』への手紙」、50代男性の追憶である。

またオリンピックがやってくる。
バナナ半分で友だちを裏切ったと泣いた、あの少年はもういない。
日本は食糧の30%を廃棄する食品ロス大国に成り上(下)がった。
自動車王 H.フォードは、日本から撤退したが名言を残した。
「成功(幸福)とは得ることではなく、与えることである」
幸福の中身を調える「福育」なら、あっていい。

著者プロフィール

宇佐美 正利 (うさみ・まさとし)
1956年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業。
学生時代、会話の苦手な自分を「人と話さざるを得ない環境に追い込む」ため、2年次に北海道別海町の牧場にとび込み1か月の労働。「人それぞれの居場所の大切さ」を知る。4年次5月〜翌3月にヨーロッパ、アフリカ、アジア18か国に遊学。「縦以外の価値観」を実体験する。
教育産業界に35年。高校内での進路講演を年間70回以上実施。情報提供ばかりでなく「考え方」の提案に努めている。

◇編著書
『才能と仕事のベストマッチング』(大学新聞社) 2011年11月11日

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