進路コラム 「出題ミス」 筆者:宇佐美 正利

進路コラム

「出題ミス」 筆者:宇佐美 正利
宇佐美 正利 2018年2月15日(木)

人波の重さに思わず手をついた車窓の脇に、ドラマの広告。
(『もみ消して冬』兄38歳、弟25歳、姉27歳)
背骨のきしみから気を逸らそうと主人公の年齢を考えた。
(26歳。本当にそうか。もし主人公が双子以上で
弟がいれば25歳、姉がいれば27歳である)
新テスト流では「25歳か26歳か27歳」となるのだろうか。

職場の数人に問うと、ドラマ通の某氏を除いて26歳と答えた。
氏曰く「主人公は弟だがドラマを知らなければ解けない。
センター試験のムーミン的設問であり、出題ミスである」と。
新テストでは正答が複数あったり、一つもなかったりする。
受験生の最後の頼みであるヤマ勘も鉛筆転がしも通用しない。
人生同様、入試にツキという因子はあってよい気もするのだが。

設問と解答が多様になればミスの懸念も増す。
昨冬の出題ミスを阪大につづき京大が認めた。
予備校講師の指摘をまさか『もみ消せず冬』ではあるまいが、
1年間も対応を怠った罪は重い。
遅れた原因に「一度も作問経験がない予備校講師ごときが何を」
といった驕りはなかったか。

英首相チャーチルが関わった絵画展の審査員に素人の青年がいた。
「一度も絵を描いた経験がないような人物に審査ができるのか」
画家たちの批判にチャーチルが答えた。
「私は一度も卵を産んだことはないが、卵が腐っているかどうかは判る」
防ぎきれない出題ミスはあろうが、
驕りや面子で若者の未来を歪めてはならない。

著者プロフィール

宇佐美 正利 (うさみ・まさとし)
1956年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業。
学生時代、会話の苦手な自分を「人と話さざるを得ない環境に追い込む」ため、2年次に北海道別海町の牧場にとび込み1か月の労働。「人それぞれの居場所の大切さ」を知る。4年次5月〜翌3月にヨーロッパ、アフリカ、アジア18か国に遊学。「縦以外の価値観」を実体験する。
教育産業界に35年。高校内での進路講演を年間70回以上実施。情報提供ばかりでなく「考え方」の提案に努めている。

◇編著書
『才能と仕事のベストマッチング』(大学新聞社) 2011年11月11日

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