進路新聞バックナンバー

“二歩歩けば転ぶ”のが人生 思い切り転んで成長して欲しい

進路新聞バックナンバー 大塚 愛さん

短期大学卒業後にシンガーソングライターとしてデビュー。「さくらんぼ」「プラネタリウム」など数々のヒット曲を飛ばし、NHK「紅白歌合戦」に6年連続出場。昨年にはデビュー10周年を迎え、さらなる活躍が期待されているのが大塚 愛さんです。
華やかなキャリアと共に、プライベートでは結婚・出産を経験するなど、女性としてのキャリアステップを着実に歩んでいます。大塚 愛さんの進路ストーリーに迫ります。

「将来のやりたいこと」を手探りしていた10代

子どもの頃からピアノを習っていたこともあり、音楽で自己表現することに喜びを感じていました。だからと言って、「必ずシンガーソングライターになる!」と息巻いていたわけではなく、憧れはあるもののどうしたら良いか考えあぐねる日々でした。

そんな高校生活でしたが、音楽制作だけはコツコツと続けていて、少しずつですが着実に楽曲がストックされていきました。その中の一つに、後にCDとしてリリースする「さくらんぼ」がありました。当時はデモテープをレコード会社に送ってもなかなか良い返事をもらうことができず、音楽の道をあきらめかけていました。

幼稚園教諭を目指して、短期大学へ進学

音楽への思いを断ち切れないまま高校3年生を迎え、進路選択を迫られた時、改めて自分自身に向き合いました。「シンガーソングライター以外に自分がやってみたいこと」を考えてみたのです。すると、職場に音楽をできる環境があって、創作や表現をしながらできる幼稚園の先生が自分に合っているのではないかと考えるようになりました。だから進学は「幼稚園教諭」の資格取得ができて、音楽や表現について学べる学科を持つ短期大学に決めました。いま振り返ってみると、音楽の道に進む覚悟を持てず、方向転換することで、当時は「デビューまでの準備期間」と自分に言い聞かせていたように思えます。

自由を満喫した短大時代、気持ちは再び音楽へ

短大時代は忙しい毎日でしたが、高校と違って、自分で好きな授業を選んで時間割を組めたり、お休みを調整できたりと、自己責任のもと、自由に行動できるところを嬉しく思いました。

短大生活も終盤に差しかかり、いよいよ卒業に向けて動き出す時期になり、再び「音楽の道にもう一度挑戦したい」と強く思うようになったんです。これまで制作した楽曲は10代の自分の気持ちがそのまま投影された楽曲でしたので、いまでなければその世界観を表現できないと感じ、余計に焦りを感じていました。「いま挑戦するしかない!」とデモテープを制作し、片っ端からレコード会社に応募しました。そうした思いが通じたのか、現在の会社から声がかかり、デビューすることになりました。

夢のシンガーソングライター、大阪から東京へ決死の上京

本格的なデビューに向けて、実家を離れて東京で一人暮らしをすることになりました。両親に経済的な負担をかけられないし、自分の力でやっていこうと決意しました。デビューまでの期間はほとんどの時間を会社で過ごし、楽曲の選定やリリース計画などにも積極的に意見を出していましたね。

デビュー直後はテレビ出演もそれほど多くなかったため、シンガーソングライターになったという実感はそれほどありませんでしたが、続くセカンドシングル「さくらんぼ」がヒットしたことで、「この世界でやっていける」と自信がつきました。

成功の陰に隠れた葛藤、結婚・出産を経験して

トントン拍子で物事が良い方向に進んでいくことに、自分自身の実力が追いついていないことを感じる瞬間も多く、大勢の人に自分の楽曲を知ってもらえている状況に奇跡を感じていました。だからこそ、「もっと頑張らなきゃいけない」と努力を重ねました。一生懸命に仕事に打ち込む一方で、プライベートでは結婚・出産を経験し、自分の環境が変わっていく中で、昨年はデビュー10周年を迎えました。これからは仕事だけではなく、家族のために自分ができることを自覚し、常に向上して毎日を過ごしていきたいと考えています。

半分は子どもの高校時代、決めごとは先送りしない

私自身、“二歩歩けば転ぶ”ような不器用な面があり、うまくいかないことが当たり前だと感じ、それでもチャレンジする気持ちを大切にして頑張ってきました。高校時代って、大人と同じようなことができる器用さを身につけている一方で、心の成長が追いついていない分、思うように進まない時にイライラしてしまったり、落ち込んだりすることもあります。だからこそ、みなさんには「自分の半分はまだ子どもなのだから、できないことがあっても当然だ」と言い聞かせて、一歩前に進んで欲しいのです。でも、進路決定を先送りにしてはいけません。早い段階で自分の道を見つけているほうがその後の人生もスムーズだと思います。いずれはご両親やいまのご家庭から自立し、みなさんも結婚や出産・子育てを経験する時がくるでしょう。その時を万全の体制で迎えられるよう、将来と向き合って、真剣に進路を決めて欲しいと思います。

INFORMATION

大塚 愛さん

6th オリジナルアルバム「LOVE FANTASTIC」
最新シングル「モアモア」をはじめとするシングル曲を加えた全12曲を収録。ビデオクリップやライブ映像を収録したDVD盤とBlu-ray盤、CD盤の全3 タイプを2014.7.16発売!!
[CD+Blu-ray] 4,860 円 [CD+DVD] 4,320 円 [CD] 2,970 円

*全国ツアー情報 8/3(日)福岡公演から8/30(土)名古屋公演まで全国8カ所を予定。詳しくはウェブサイトにて
〈大塚 愛オフィシャルウェブサイト〉  http://avex.jp/ai/

大塚 愛さん
大塚 愛(おおつか あい)
1982年9月9日、大阪府生まれ。2003年、「桃ノ花ビラ」でデビュー。全ての楽曲を作詞・作曲するシンガーソングライターとして活躍する一方、特技のイラストを活かした絵本を出版するなど多彩な才能を発揮。妊娠を機に2011年から活動を休止していたが、昨年より本格的に音楽活動を再開した。

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