「総合学科高校の変遷から今後の展望を考察する 2」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文 更新日: 2025年3月14日
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中途退学者を減らすため、全日制から定時制へ転学(一般的には転校という)と
編入学(第1学年以上の課程を修了し、一度退学した後に改めて入学する制度)が行われている。
昭和63年前後、私が勤務した定時制は、
転学・編入学生(以下、転・編入生とする)を積極的に受け入れ、生徒数は600名を超えていた。
学習指導の課題の一つは、定時制1年からの入学生と全日制からの転・編入生との学力差と、
定時制課程の学習の進む速度である。
転・編入生は定時制の授業も、教科書にそった学習と思い込んでいる。
また、定時制で再スタートをしようとした生徒もいた。
しかし、定時制の多くの科目は、小学校、中学校の復習から入る。
全日制では、1年で終了する科目を2年ないし3年で行う科目も見受けられた。
そのため、定時制の授業を馬鹿にし、心が荒れてしまう転・編入生がみられた。
定時制1年からの入学生を、転・編入時、転・編入生は、どのように見るか想像してもらいたい。
当時は、心のケアなどは十分に行ってはいなかった。
平成元年度公立高等学校の中途退学者にアンケートを実施した『高等学校中途退学問題について』
(平成4年12月11日学校不適応対策調査研究協力者会議報告(概要))
において、高等学校への希望としては、
「社会にでてから役立つようなことを教えてほしい」が42.6%、
「もっと学校の規則やきまりをゆるやかにしてほしい」33.8%、
「もっと興味のもてる教科・科目を設けてほしい」28.5%である。
まさに、総合学科設置への背景が見えている。
【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職