南関東地下深部で古細菌が今もメタンを生成、海洋研究開発機構と信州大学などが分析 更新日: 2021年2月2日
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海洋研究開発機構の高野淑識センター長代理と信州大学の浦井暖史研究生は、関東天然瓦斯開発株式会社、東京大学と共同で、南関東ガス田から採取した試料を分析し、深部流体に棲息するアーキア(古細菌)が今もメタンを生成し続けていることを明らかにした。また、深部流体には多様性に富んだ微生物群集が存在していることも判明した。
関東の地下深部には約300~40万年前の海底堆積物でできた地層が分布し、地層中の地下水は水溶性の天然ガスや高濃度のヨウ素を含有する。産出される天然ガスは、地中に埋もれた有機物を微生物が分解したものとされ、事実、千葉県茂原市周辺の地下水からメタン生成アーキアの遺伝子が検出されている。しかし、地下深部に棲息するメタン生成アーキアの存在量やその活性の正確な評価は困難だった。
研究では、千葉県茂原市周辺の調査地点2か所で、深部地下帯水層から自噴するガスと地下水試料を採取。この試料から補酵素F430を抽出して測定した結果、高濃度のF430を認めた。F430は不安定な化合物で、メタン生成アーキアの細胞外に放出されると速やかに異性化(エピマー化)または分解する。しかし、本試料からF430のエピマーは検出されず、深部地下帯水層のメタン生成アーキアは、高いメタン生成活性を有すると考えられた。
さらに、リボソームRNA遺伝子解析を実施することで、メタン生成アーキアに加え多種多様な微生物の深部地下帯水層における存在を確認した。また、深部地下帯水層は雨水や海水による表層からの炭素供給がほぼ無く、独立した地下生命圏を形成していた。
今回の発見により、地下圏の原核生物の生態や、深部地下帯水層のメタン生成プロセスの解明が期待される。
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