「動物の命を守る仕事がしたい」「獣医師に興味はあるけれど、何から調べればいいのか分からない」と感じている高校生も多いでしょう。
獣医師になるための基本のルートは、大学の獣医学部で6年間学び、そのあとに国家試験に合格して免許を取ること。
少し先の話に思えるかもしれませんが、大学選びや受験勉強を早めに意識しておくほど、将来の選択肢は広がります。
この記事では、この最短ルートの流れや学費、6年間の学び方、就職先のイメージまで、高校生のあなたにも分かりやすく整理して紹介します。
【獣医師になるために必要なこと】
- まずは獣医学部のある大学で6年間学ぶ
- そのうえで国家試験(獣医師)に合格する
- 合格後に獣医師免許を取得して、はじめて獣医師として働ける
【この記事でわかること】
- 獣医師の資格のとり方が一通りイメージできる
- 獣医師になるための大学選びと6年間の学びの流れ
- 獣医師の仕事内容や就職先の選択肢
獣医師の仕事を詳しく知りたい方は、「職業ガイド(獣医師)」をご覧ください
https://shinronavi.com/newshigoto/kind/197
獣医師になるために必要な情報が学べる学校を見たい方
獣医学が学べる大学一覧(全国)
獣医師になるための最短ルートは?
獣医師になる最短ルートは、「6年制の獣医学部を卒業して、国家試験に合格すること」です。獣医師だけが「動物の診療」を仕事として認められています。これは獣医師法で決められていて、ほかの学部から獣医師になることは基本的にできません。
「6年制の獣医学部を卒業→国家試験合格→免許取得」という流れが、獣医師を目指すうえでのスタートラインだと押さえておきましょう。
ポイント
- 獣医学部は6年制
- 卒業後に国家試験を受ける
- 試験合格ではじめて獣医師になれる
高校生のうちから「どの大学を選ぶか」「いつからどれくらい勉強するか」を少しずつ考え始めておくと、自分に合った進路を選びやすくなります。
参考:e-Gov法令検索「獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)」
https://elaws.jp/view/324AC0000000186
獣医師ってどんなお仕事?
「ケガをした犬や猫を診てくれる“動物病院の先生”」というイメージが強いかもしれません。もちろんそれも大事な仕事ですが、実は獣医師は、動物を診るだけでなく、人や社会の安全を守る幅広い役割も担っています。
動物の命と社会を支える
獣医師は、ペットの健康を守るだけでなく、家畜の病気を防いだり、食べ物の安全をチェックしたり、感染症の広がりを防ぐことにも関わっています。
「人と動物と環境の健康はひとつにつながっている」という考え方をワンヘルスといいます。
たとえば鳥インフルエンザのように人と動物のあいだでうつる感染症や、薬が効きにくい菌の問題などは、人だけ、動物だけを見ていても解決できません。
そのため獣医師は、動物の診療だけでなく、感染症の監視や予防、食品衛生、環境保全などを通じて、社会全体や地球の健康を守る大切な役割を担っているのです。
「動物が好き」な気持ちに加えて、「人や社会の役にも立ちたい」と思う人にはぴったりの仕事です。
参考:厚生労働省「ワンヘルス・アプローチに基づく人獣共通感染症対策(2025年1月20日)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172990.html
獣医師になるまでの流れ
獣医師として仕事をするまでのステップを見ていきましょう。
- 高校卒業
- 獣医学部(6年制)に入学
- 6年間のカリキュラムをクリア
- 4年次終わりに共用試験(知識+実技)
- 卒業後、国家試験を受験
- 合格して免許を取得
最初の難関は「獣医学部の入試」です。医学部並みにハイレベルで、しっかりした準備が必要です。
入学後も専門的な内容が多く、留年する人もいます。6年間、コツコツ勉強を続けていく覚悟が大切です。
「大変そう…」と感じるかもしれません。大変な分、動物の命を預かるプロとしての力を、じっくり育てていく期間だと考えると良いでしょう。
獣医学部に入るにはどうすればいい?
ここまで、獣医師になるまでの流れをご紹介しました。次は、最初の難関「獣医学部」について、詳しく見ていきましょう。
日本にある獣医学部は?
「行ける大学はたくさんある」と思っていると、実際の数の少なさに驚くかもしれません。
日本で獣医学部がある大学は、国公立・私立あわせて17校しかありません。1学年の定員も約1,100人ほどで、とても狭き門です。
- 国立10校(北海道大・東京大・帯広畜産大・岩手大など)
- 公立1校(大阪公立大)
- 私立6校(酪農学園大・北里大・日本大・日本獣医生命科学大・麻布大・岡山理科大)
大学ごとに雰囲気や力を入れている分野も違うので、資料やオープンキャンパスで「自分に合いそうかどうか」をよく見るようにしましょう。
入試の難しさと倍率
国公立大学では共通テストで8割以上の得点が必要なことも。私立も偏差値が高く、倍率10〜20倍のこともあります。
とくに理系科目の得点が重要なので、理科や数学、英語の基礎を早めにしっかり固めましょう。
数字だけを見るとハードルが高く感じますが、「理科・数学・英語をコツコツ積み上げること」が一番の近道です。今の学年の内容を丁寧に復習することも、立派な第一歩になります。
どんな科目が必要?
- 国公立は共通テスト+2次試験(理科2科目が多い)
- 私立は英語・数学・理科の組み合わせ
- 大学ごとに受験科目が違うので、必ず公式サイトなどでチェックを
大学の6年間で学ぶこと
獣医学部では、1年生から6年生まで段階的に専門性が高まっていきます。「どんな自分に成長していくのか」をイメージしながら見てみましょう。
1~2年生:基礎と教養
高校までの理科をさらに深めながら、「動物のからだのしくみ」や「動物行動」など基礎からスタートします。実際に解剖や実験、グループワークなども多く、「教科書だけでは分からなかったこと」が体験を通して理解できるようになっていきます。
3~4年生:病気や社会との関わり
この時期は、病気や薬、微生物・ウイルス、公衆衛生について学びます。人と動物の共通感染症や、食品・環境の安全も重要なテーマです。
「なぜこの病気が起きるのか」「どうすれば防げるのか」を考える力が鍛えられ、社会とのつながりも見えてきます。
4年生の終わりに全国共通試験
知識のテスト(VetCBT)と、実技のテスト(VetOSCE)に合格すると、実習(ポリクリ)に進めます。
ここまでで身につけた知識と技術を、一度しっかり確認する大きな節目となる試験です。
5~6年生:実習と研究
大学の動物病院や農場、検査所などで、実際の現場に近い体験が増えます。
同時に、卒業研究として実験やデータまとめ、発表にも取り組みます。
「自分はどんな分野に興味があるか」「どんな獣医師になりたいか」を考えるヒントも、この時期の経験からたくさん得られます。
最後の難関!国家試験について
獣医師国家試験は、これまでの学びの集大成です。国家試験の内容も見てみましょう。
試験の内容と合格のコツ
・合計330問(必須・学説・実地問題)
・必須問題は70%、全体で60%以上の正答率が必要
・実地では写真や画像を見て答える問題も
新卒の合格率は90~95%と高め。まじめに大学生活を送れば十分狙えます。
既卒は合格率が下がるので、計画的に勉強を続けることが大切です。
参考:農林水産省「第76回獣医師国家試験(令和6年度)の結果について(2025年3月12日)」
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/250312.html
卒業後はどんな場所で働くの?
免許取得後の進路はさまざまです。「どんな獣医師になりたいか」によって、選ぶ道も変わってきます。例えば、「ペット医療の現場」「家畜や農場」「公務員」など活躍の場はたくさんあります。
ペット医療の現場
一番多いのが、犬や猫などペットを診る「小動物臨床」です。動物病院に就職して経験を積み、いずれは開業する人もいます。
「動物病院の先生になりたい」というイメージに一番近い働き方で、大手の動物病院チェーンで働く人も増えています。
家畜や農場で活躍
牛や豚など家畜を診る仕事は、日本の食や農業を支えています。NOSAIなどの組合職員として、農家を回って治療や衛生指導を行います。
大きな動物が好きな人や、地域の農業を支えたい人に向いた働き方です。
公務員として社会を守る
都道府県や市の職員として、家畜伝染病の予防や食肉の安全検査、保健所での衛生管理などを担当します。
安定した働き方ができるだけでなく、社会全体の安心・安全を支えるやりがいの大きい仕事です。
企業・研究・動物園など
製薬会社で薬の開発や、安全試験の担当、研究所で動物実験や検査を行う人もいます。動物園や水族館の獣医師は採用が少なく、かなり狭き門です。
国際的な機関で感染症対策や食料支援にかかわる獣医師もいます。「新しい薬や治療法を生み出したい」「世界レベルで人と動物の健康を守りたい」という人には、こうした進路も選択肢になります。
学費やお金のサポートについて
「学費が高そうで不安」と思う方もいるでしょう。
ここでは、国立と私立の学費の目安をご紹介します。また、利用できる奨学金やサポート制度もあります。
学費の目安
| 大学の種類 | 6年間の学費 |
|---|---|
| 国公立 | 約350万円 |
| 私立 | 約1,300万~1,500万円 |
国公立は学費が大きなメリット。私立は設備や立地などが魅力の場合も多いので、いろいろ比較して自分にあった学校を選んでいきましょう。
参考:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/002/002/1413359.htm
奨学金やサポート制度
・日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
・各大学の特待生制度
自治体による「修学資金貸与」などもあり、卒業後に公務員獣医師として働く条件で返済免除になることも。
獣医師に向いている人は?
獣医師の仕事は責任が重く、求められる知識や技術も多岐にわたります。ここでは、獣医師として活躍するために必要な資質や、向いている人の特徴を説明します。
どんな性格や力が必要?
獣医師は動物の命を預かるプロフェッショナルです。専門知識はもちろん、以下のような資質や力が求められます。
・命としっかり向き合う責任感
・「なぜ?どうして?」と考える科学的な好奇心
・飼い主や生産者と信頼関係を作るコミュニケーション力
・体力や気力のタフさも大切
これからの獣医師に必要なこと
ITやAIを使った診療も増えていくので、最新技術への好奇心や「一生勉強し続ける姿勢」も必要です。
英語や新しい知識を学ぶことにも前向きにチャレンジしましょう。
獣医師を目指すあなたへ
獣医師は動物だけでなく、人や社会、地球全体を支える「命のプロ」です。
入試も勉強も大変ですが、それ以上のやりがいがあります。
自分がどんな獣医師になりたいか、どんな動物や分野に興味があるか、早いうちからイメージしておくと進路選びがスムーズになります。
・大学のオープンキャンパスや職業体験に参加して、実際の現場をのぞいてみよう
・気になる大学や職場について、先生や先輩、家族と話してみよう
「獣医師の仕事をもっと知りたい!」と思った方は、職業ガイドや進学情報もぜひチェックしてください。
まずは実際に見て比べよう「オープンキャンパスを探す」
https://oc-navi.jp/
【獣医師になれる学校を調べてみる】
獣医学が学べる学校を見てみる「獣医学が学べる大学一覧(全国)」
https://shinronavi.com/search/result?fld%5B%5D=T-716
【獣医師以外の動物と関わる仕事を見てみる】
獣医系以外の動物に関わる仕事を見てみる「動物トレーナー/動物飼育係|職業ガイド」
https://shinronavi.com/newshigoto/kind/128
ペットケアの仕事を見てみる「トリマー|お仕事調査隊」
https://shinronavi.com/job/kind/126
動物関連について学べる専門学校を見てみる「動物関係を目指せる専門学校一覧」
https://shinronavi.com/search/result?job%5B%5D=B19&sk%5B%5D=C
