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優先順位 筆者:橋本 光央

コラム

未だに新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
5月6日に予定されていた学校の再開も、
見通しが立っていません。
でも、こんな時だからこそ、
「いま、何をすべきか」をよく考えて行動しなければなりません。

よく「今日できることを明日に延ばすな」と言います。
勤勉な日本人にぴったりの格言です。
でも、「明日やればいいことを今日やってしまう」のは、
良いことなのでしょうか。
というのも、「明日できることは今日するな」
という格言もあるからです。

こちらは遊牧の民であるトルコ人の格言なのですが、
砂漠はとても過酷な環境なので気候の変化が激しく、
「明日できることを今日やっても、
それが台無しになってしまうことが多い。
だから、無駄なことはするな」
という意味で使われているようです。
気候が穏やかな日本とは対照的な格言です。

ところが近年、AIに代表される情報システムは、
日進月歩どころか、秒進分歩の進化を続け、
「今日はこうだったから、明日はこうなる」という保証はありません。
新型コロナウイルスの影響も日々刻々と変化しています。
ということは、
今の日本においては、トルコの格言のほうが適しているかもしれません。
                 
日本には「ただいまの教え」というものがあります。
これは、「あれこれと先のことを考えるより、
ただいまから取り組めば、結果は自ずと現れる」
という仏教の考えです。
これを言い換えると、
「何をすべきかの優先順位を正しくつけて、
それに当たる」ということでしょう。
逆に、優先順位のつけ方を間違えて仕事に臨むと、
仕事ははかどりません。
優先順位を上手くつけられない人は、「要領の悪い人」なのです。

だから、「いま、何をすべきか」をよく考えて、
行動しなければならないのです。
もしかすると「明日でいいことを、今日やってしまう」という人は、
「優先順位のつけ方が間違っている」のかもしれません。
さて、“いま、本当にしなければならないこと”は、何でしょう?
それを考えて、
一歩一歩確実に進んでいくことが大切だと思います。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫(https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/)にて作品を無料公開中。

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