大学入試の基礎知識 学校推薦型選抜(旧・推薦入試)

推薦入試は近年、入試形態のなかでも大きな割合を占めており、私立大学では約4割がこの入試による入学者となっていました。令和3年度の入試から「推薦入試」は「学校推薦型選抜」と名称が変わります。新たに「学力の3要素」を測る選抜という側面が加わりますが、大きな流れは従来の推薦入試を引き継ぐ形となります。

これまでの実績を評価する入試

学校推薦型選抜(旧・推薦入試)とは、原則として学校長の推薦に基づき、書類審査、面接、小論文などで合否を決める入試形式のことです。形式は、大きく「指定校推薦」と「公募制推薦」に分けられます。

「指定校推薦」は、公立大学と私立大学のみで行われ、大学が指定する特定の高校の在校生に限って出願できます。

「公募制推薦」は、大学が定めた出願条件を満たせば、どの高校からでも出願できます。私立大学では、他の大学との併願を認めている場合もあります。なお、公募制推薦は、出願要件や出願資格の内容などから、さらに「一般推薦」と「特別推薦」に分かれます。

ページ下部に、主な特別推薦の実施形態をまとめてありますので参考にしてください。

この選抜で最も重視されるのは、「学習成績の状況(旧・評定平均値)」や出欠状況、特別活動等が記入された「調査書」です。特に「学習成績の状況」がカギになり、国・公立大学の場合は4.0以上、私立大学の場合は3.0~4.0が出願の目安と考えられます。

令和3年度からは、「学力の3要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性)」を測ることが求められ、例えば、小論文等、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績、あるいは大学共通テストのうち、少なくともいずれかの1つの活用が必須とされています。これらのどれを活用するかは、志望校によって違うので情報をよく確認しておきましょう。

出願開始日は、原則として11月1日以降と定められているため、選考は11月から12月に実施され、合格発表は12月以降となります。

■推薦入試実施状況と入学者の割合

入試方法別入学者数の割合
設置者別入学者数の割合

※大学別(国立大、公立大、私立大)にどの入試方法で受験したのかを示したグラフです。(平成30年度)

学校推薦入試の選考方法で多いのは書類審査+面接+小論文

■選考ポイント

書類審査

「全体の学習成績の状況(旧・評定平均値)」と成績の伸び具合が重要
全体の学習成績の状況は、高校1年からトータルした成績の平均。成績の伸び具合は、上向きであることが望ましい。どちらも高校3年1学期(前期)は特に大切。また出欠、特別活動、取得資格、学習や行動の特徴などの要素も評価対象となる。

面 接

受け答えの好印象で自分をアピール
きちんとあいさつができるか、質問を理解して的確に受け答えをしているかなどを中心に、受験者の全体像を評価。質問・応答を通して、学校の教育理念や学部・学科についての理解度、学問に対する意欲、人間性などがはかられる。

小論文

自分の考えや意見を文字にして明確に伝える
小論文によって学校が評価するのは総合学力の有無。出題の意図を理解し、論理的に自分の考えや意見を組み立てるトレーニングを重ねておこう。過去問題へのチャレンジと、常に社会の動きや最新のニュースを把握しておくことが大切。

■基礎学力を重視する学校推薦型選抜の場合

○理工系で増加傾向の口頭試問

書類審査 + 面接 + 口頭試問

「口頭試問」とは、学科や専攻に関する基礎知識があるかどうかを評価するための方法。その場で問題が出され、その場で答えなければならない。解答の正否より、解答するまでのプロセスがチェックされる。

○学力重視の学校に多い

書類審査 + 面接 + 学科試験
(大学入学共通テスト利用型も含む)

書類審査 + 面接 + 小論文 + 学科試験

学科試験は、教科書の内容からの基礎的な出題が多い。

○意欲や感性を重視する学校に多い

書類審査 + 面接(プレゼンテーション)

「プレゼンテーション」とは聞いてくれる人に情報を提示して、理解を得るようにするための手段。大学入試の場合は、自己PRや課題発表で必要になります。限られた時間の中で、自分の考えや計画を熱意をもって伝え、それが大学のアドミッションポリシーと合っているかが大切になります。

プレゼンテーションを行うにあたっては、持ち込みが可能な物(例:パワーポイント、資料、写真、動画など)を事前に確認し、準備しておきましょう。

○美術や音楽、体育系の学部に多い

書類審査 + 実技試験 + 面接

「実技試験」とは、作業や演奏、運動などを実際に行い技術が体得できるかどうかを判定する試験のこと。美術系ならばデッサンや塑造、音楽系ならば歌唱や楽器演奏、体育系ならば運動などを行うので、試験に向けて技術や体力を維持することが必要になってきます。

学校推薦型選抜への対応策

学校推薦型選抜で受験するならこれだけは知っておきたい準備のポイントをご紹介します。

各大学の入試情報をしっかり確認しよう

試験合格のカギは、入試についてしっかりと理解できているかどうかにかかっています。2021年の入試から、学校推薦型選抜の選考方法も多様化が進み、小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目にかかるテスト、資格・検定試験の成績など多面的に評価されることになるので、受ける大学の資料請求をしたり、ホームページで募集要項や入試情報を徹底的に読み込んで、自分なりの受験プランを立てましょう。

日頃の成績と生活態度が重要

学校推薦型選抜で重要なのは、学習成績の状況や成績の伸び具合です。これまで成績は評定平均という数値で表されてきました。評定平均とは、高校1年~3年の出願するまでの間に受けた全科目の成績(5段階)を合計して、科目数で割った数値です。評定平均を上げるためには日頃の授業をきちんと受けて、定期テストで良い成績をとっておくことが重要です。また、提出物をきちんと出していることや出席日数が基準をクリアしていることなどが必要です。

大学入学共通テストへの対応

学校推薦型選抜を行う大学の中には、「書類審査+学力試験+面接」の「学力試験」で「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」を課すところもあります。共通テストの出願は9月下旬から10月上旬となりますので、11月の学校推薦型選抜の出願前にしっかり対応しましょう。共通テストの第1日程が1月16日・17日、第2日程が1月30日・31日となります。また特例追試験は2月13日・14日に実施となります。

資格の取得

学校推薦型選抜では、資格取得を評価する大学が増えてきています。出願資格としては、「情報処理技術者検定」や「日商簿記検定」、「日本漢字能力検定」、「実用英語技能検定」、「TOEIC」など。それらの学習を通して得た結果や、入学後の勉強にどのように活かしたいかなどを面接で訊かれる場合もあります。

熱心に取り組んだ活動があるか

部活動や生徒会活動、ボランティア活動、留学経験など、それまでに学校内外の活動で熱心に取り組んだものがあり、そのような活動を選考で考慮することが入試要項に明記されていたら、入試でアピールできます。その際に重要なのは、活動を通してどのような成果を出したか、どれだけ成長したかが重要なので、それを自分の言葉で説明できるように準備しておくことが大切です。

特別(ユニーク)推薦

得意分野の実績や活動状況、成果などを評価する入試で、出願条件に合えば誰でも受験することができます。大学・学部により種類や選考基準は異なり、多種多様です。

スポーツ推薦 全国大会や県大会における上位入賞実績を評価。対象となる競技種目は大学により異なる。
文化活動推薦 音楽・美術・演劇など、文化・芸術分野において、全国または都道府県レベルで入賞した実績を評価。大学により分野や種目の指定がある。
社会活動推薦 地域環境美化、高齢者や障害者介護などの奉仕、ボランティア活動などの実績を評価。
課外活動推薦 生徒会役員や部活動で、優れた活動に携わった実績を評価。
特定教科推薦 志望学部・学科において必要となる教科の成績を評価。
有資格者推薦 英検、TOEIC、TOEFL、簿記、情報処理など、志望学部・学科にかかわる一定ランク以上の取得資格・検定合格を評価。
自己推薦 学校長推薦の必要がなく、自分の得意な分野をアピールする。

※ 上記のほか「専門高校枠推薦」「同窓生・子弟推薦」などもある。また趣味を活かして進学する「一芸一能推薦」もありますので、詳しくはこちらをご覧ください。

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