大学入試の基礎知識 私立大学一般選抜

私立大学が行う一般選抜の形式は実にさまざま。国・公立大学と大きく異なるのは、ある特定の日に試験日が限定されることがない分、入試日程が多様で、その内容も多岐にわたる点です。うまく組み合わせれば、志望校を複数回受験することも可能で、受験チャンスを増やせます。

主流の3教科入試のほかに、2教科以下の入試も

私立大学の一般選抜は、3教科型が中心です。ただし、最近では2教科以下の入試を行う大学も増えています。

文系学部は、3教科の場合、外国語国語が必須で、地歴・公民・数学から1教科を選択する方式が中心。2教科の場合は、外国語が必須でほかの1教科を選択するか、任意の2教科を選択するパターンが主流になっています。

理系学部は、数学・理科・外国語の3教科が基本。2教科の場合は、数学と外国語か、数学が必須で理科・外国語から1教科を選択するパターンが多くなっています。

配点は各教科均等配点のほか、特定の教科の配点を重視する傾斜配点をとるケースもあります。

なお、受験教科数が少なくなると、合格者最低点の得点率が高まることや受験生が集中して高倍率になる場合が多いことも知っておきましょう。

自分に合った入試方式を選択し、受験チャンスを増やそう

私立大学の一般選抜は、年々多様化が進んでいます。一つの大学・学部であっても複数の入試方式を受験でき、併願が可能となる「複線入試」を導入しているところがほとんど。「A日程」「B日程」などと日程を分けて実施する場合や、受験教科が複数パターンある入試、学外の会場で実施される入試など、その内容もさまざまです。

特にここ数年、「大学入学共通テスト利用入試」を実施する大学・学部が増加しており、大学入学共通テスト利用入試が複線入試の主流になっています。この入試方式には、(1)国・公立大学との併願がしやすい (2)大学入学共通テストだけで複数の私立大学に出願できる (3)一般選抜と比較して受験料が安い――などのメリットがあります。

そのほかにも、全学部が共通の日程、共通の問題で入試を実施する「全学部統一入試」を導入する大学も増えています。通常の学部ごとの入試とは別日程で行われるため、受験機会が増えるという利点があります。

また、受験生が都合の良い試験日を選んで受験できる「試験日自由選択制入試」を実施する大学もあります。志願大学の試験日の重複を避けることができ、併願のチャンスが生まれます。

このように、私立大学では多様な受験機会が用意されている一方で、仕組みも複雑になっています。大きくなった合格のチャンスを逃さないためにも、志望校の募集要項をしっかり読んで、早めに受験プランとスケジュールを立てておきましょう。

  • ※名称は大学によってさまざまです

さまざまな入試方式

3教科型入試 私立大学の一般的な選抜方法。募集人員が多く合格者も多い。試験科目は文系学部が外国語・国語・選択科目(地歴・公民・数学から1教科を選択)を、理系学部が数学・理科・外国語を課すパターンが基本。
得意科目重視型入試 自分の得意科目を活かせる試験方式。得意科目の配点比率を高める、高得点の科目のみの点数で合否判定を行うなどの方法がある。ただし、その科目を得意とする受験生が集まるため、高倍率になる場合も。
大学入学共通テスト利用型選抜 共通テストの成績を利用した試験。ほとんどの大学が個別試験は行わず、共通テストの成績で合否が決まる。また、共通テストの受験だけで複数の大学・学部に出願でき、国・公立大学との併願がしやすいといったメリットもある。
試験日自由選択制入試 同じ学部・学科で2日以上の試験日を用意し、その中から受験生が都合の良い日を選んで受験できる。すべての試験日で同じ学部・学科を受験することが可能な大学もある。併願校の試験日とのバッティングを避けることもできる。
全学部統一入試 全学部・学科が、共通する試験問題を用いて、同じ日に一斉に行う選抜試験。一度の受験で複数の学部・学科へ出願することができる。ただし、文系学部と理系学部によって試験内容や実施日が異なる場合もある。
学外入試(地方入試) 大学の所在地以外の試験場で行う選抜試験。自宅から最寄りの試験場を選んで受験することができるため、交通費や宿泊代などの費用も軽減できる。大学で実施する試験日と別の日程であれば、複数回の受験が可能となる。

大学入学共通テストを利用した場合

私立大学の一般選抜には次の2つがあります。

  • 各大学が個別に実施する試験を受ける場合
  • 大学入学共通テストを利用する場合

大学入学共通テストを利用する場合、受験生は、共通テストを受けて、各大学の共通テスト利用入試に出願します。すると大学は、出願者の試験結果を大学入試センターに問い合わせて合否が決まります。

共通テストの成績を審査対象にする大学であれば、大学、短期大学、学部大学などの種類を問わず出願できますので、国公立大志望者でも、共通テストが利用できる私立大学なら併願が可能です。

また、共通テストは、全国約700会場以上で行われ、自分が住む地域から近い会場で受験できるので、志望大学が遠く離れたところにあっても、受験のために志望大学まで行く必要がなく、遠方の方も受験しやすいというメリットがあります。

一般選抜と大学入学共通テストのスケジュール

一般選抜と大学入学共通テストのスケジュール

合格のためのPoint確認

□ 入試は3教科が主流
○文系学部の場合
「外国語」+「国語」+「『地理歴史・公民・数学』から1教科」の3教科が基本
○理系学部の場合
「数学」+「理科」+「外国語」の3教科が基本

□ 受験教科数が少なくなると、高倍率になる場合も

□ 志望校の入試情報は早めに把握・研究。しっかり受験プランを立てる

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