進路コラム 新学期の車内風景

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進路コラム

新学期の車内風景
宇佐美 正利 2017年4月19日(水)


(具合の悪いお客さまの救護....お急ぎのところご迷惑を....)
新しい年度が始まり、朝の通勤・通学ラッシュが戻ってきた。
東京圏では人口の流入率の高さを肌で感じさせるような、
前年に増しての混雑ぶりと大幅な遅延に辟易の毎日である。

車内には美容道具が詰まった大きなバッグを抱え、
図面が入っているのであろう円筒ケースを庇い、
真新しいキャンバスを頭上に支え持って泣き顔の新入生たち。
心ない周りの大人の罵声に怒声、舌打ちに肘打ち。
詰めこみ電車に耐えられずに中退してしまう学生は少なくない。

休日の早朝の車内、疲れきって眠り込む乗客たちをよそに、
シルバーシートに陣取った準老人の一団から哄笑がたえない。
これから山に向かうのであろう出で立ちで武勇伝に花が咲く。
出陣前の逞しい姿とシルバーシートがいかにも不釣り合いに映る。

優先席の隅に嵌め込まれたオブジェのようにひとりの少女が眠る。
少女の膝に置かれた大きなリュックから右腕がシートに流れ、
黒い生地にプリントされた真白いロゴが現れた。
“PLEASE DO NOT LOOK AT ME”
思わず呟く、(お父さん、お母さん、あなたの娘さんは頑張っていますよ)
優先席に内部障害を示すハート・プラスのマークが登場した。
健常者のための「極度の疲労マーク」が加わってもいい。

著者プロフィール

宇佐美 正利 (うさみ・まさとし)
1956年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業。
学生時代、会話の苦手な自分を「人と話さざるを得ない環境に追い込む」ため、2年次に北海道別海町の牧場にとび込み1か月の労働。「人それぞれの居場所の大切さ」を知る。4年次5月〜翌3月にヨーロッパ、アフリカ、アジア18か国に遊学。「縦以外の価値観」を実体験する。
教育産業界に35年。高校内での進路講演を年間70回以上実施。情報提供ばかりでなく「考え方」の提案に努めている。

◇編著書
『才能と仕事のベストマッチング』(大学新聞社) 2011年11月11日

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