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vol.1 建築家 古澤大輔さん

自分が描いた設計図が形になり、街や人の動きを創造するのが喜び

一級建築士事務所「メジロスタジオ」は、「高崎市の屋台村」「ドルチェ&ガッバーナショーウィンドー」など、ジャンルを問わずユニークな物件を生み出し、建築ファンの間で注目を集めています。
素敵な建物を設計する建築家はどんな進路を歩んできたのでしょうか?スタジオ主宰者のひとりである、古澤大輔さんにお話しをうかがいました。

宇宙のようなニュータウンがきっかけ

父が建築関係の仕事をしていた影響もありますが、小学校2年生のときに新興住宅街の「多摩ニュータウン」を見て、建築に興味を持ちました。新しい街並みが宇宙のように感じて。高校生のときに、大学は建築学科を受けようと決めました。当時は物理と数学が得意で完全に理系人間。国語と英語はまるでダメで、とても偏っていたんですよ。

最初はデザインから入る人が多い

建築は分野が分かれていて、「意匠(デザイン・設計)」「構造」「設備」「材料」、それから「都市計画」があります。大学ではみんな最初は意匠から入るけれど、課題の評価によって4年生頃に進むべき道が分かってきます。自分が選んだのは意匠で、描いた設計図が模型となり、その中で街が変わり、人の動きを創造するのが喜びになりました。「建築とは」といった本質的な概念と、「モノ創り」をリンクさせることに慣れてくると、勉強が面白くなっていきました。

完全理系人間が文系の考え方に

卒業設計は「火葬場」にしました。理由は、絶対ひとり1回はお世話になるのに、「処理場」のような扱いをされている施設だから。きちんと設計したくて、明治神宮の森に開かれた施設を考えました。大学院では、「駅前の商店街がさびれる原因」とされるロードサイドショップ(※)について研究。ともに、社会的に良くないとされる建物について考えました。それまでの設計課題を通じて、いろいろな建築の本を繰り返し読んだからか、完全に理系だった脳が、社会についても考える文系の発想になってきたんですよ。
※交通量の多い道路の沿線にある、自家用車での来店を前提とした店舗のこと

室内の空間を広げるために「高さ1m 以下は建築物とみなされない法律」を利用。地面に近い部分をロケットのような地下室の空間にした。

就職も考えたが、自分で事務所を設立

大学院のときに大手ゼネコンのインターンシップでサラリーマンを経験しましたが、自分の目指している仕事ではないと感じました。 その後、建築家のアトリエでアルバイトをしていたときに、コンペ(建設設計競技)で優勝して、就職よりも次の目標に進みたいと考え方が変わりました。大学院時代に参加したワークショップで現在のパートナーと出会い、26歳で事務所を立ち上げました。

2年かけて建て、物件と長く付き合う

現在進行中の物件のアイデアもユニーク。「公道から2m 以内に建築物を建ててはならない(通常は幅2m 以上の庭を作る)」と決まっている地域なので…

ひとつの住宅物件はだいたい2年ほどかけて建てられます。設計事務所の一般的な仕事の流れは「基本構想」「基本設計」「実施設計」「現場監理」に分かれています。「基本構想」は簡単なスケッチや図面を作る、クライアントとのお見合い期間。気に入ってくれたら契約し、「基本設計」に入り、要望を図面や模型で検討。その次の段階の「実施設計」では、詳細な設計図を100 枚くらい描き、電話帳のように分厚いものになります。建築基準法という守るべき法律がたくさんあって、関係業者や役所との綿密な打ち合せも必要です。「現場監理」の段階になると、建築現場に週1、2 回のペースで通い、定例会議。工事内容を確認します。建材として質感が好きなのでコンクリートの壁をよく使いますが、品質を監理するのがむずかしく、たまに不具合が生じることもあります。 完成後のメンテナンスなどに対応し、クライアントさんとは長いお付き合いになるので、食事に誘われると嬉しいですね。

「やりたいこと」は紙に書いてみよう

学生時代は就職活動などでナーバスになる人もいますが、「人と違うことは良いこと」と考えればいいんです。やって良いことと悪いことさえしっかり見極めれば大丈夫ですよ。自分は大学を卒業してから「やりたいこと」を手帳に書いたら、無意識に行動に移していたようで、たまに読み返すと本当に実現しているんです。だからやりたいことを「文字にすること」はオススメですよ。

建築家 古澤大輔さん
建築家 古澤大輔さん
1976年東京生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)工学部建築学科卒業、同大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。 2002年、馬場兼伸氏、黒川泰孝氏とともに一級建築士事務所メジロスタジオを設立。日本大学、首都大学東京にて講師としても活躍中。

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