お仕事の内容について教えてください。
東京・飯田橋と九段下で、イタリア料理居酒屋の「ポルポ」、鉄板料理・お好み焼きを中心とした居酒屋「9plancha(キュープランチャ)」、ジェラート屋「ドルチェ」と3つの店舗を経営しています。ポルポと9planchaでは実際に料理も作っています。
最初の店である「ポルポ」を始めたのは7年前。その後、4年前からお好み焼き屋、さらに今年の夏からジェラート屋を始めました。現在は、ピザ用に新しく石窯を入れて店をリニューアルしたばかりということもあり、主に「ポルポ」で働いています。
仕事は朝の9時半ぐらいからで、まずはランチの仕込みを始めます。スパゲッティがメインなので、そのソースを作ったりサラダの準備をしたりですね。
ランチタイムは、11時に開店して14時半まで営業しています。その間、ランチを作りながら、夜の料理の仕込みもします。お昼の休憩がとれるのは15時ぐらいですね。夕方は、材料の業者さんが来たりするのでその対応をしたり、他店で用事があれば足を運びます。
夜は17時半ぐらいから開店して23時まで営業。その後、お好み焼き屋の方に手伝いに行って、閉店する1時ぐらいまで厨房に入ります。閉店後片づけをして、寝るのは早くて3、4時ぐらいですかね。
また、店長だけでなく店のオーナーとしての仕事もあるので、経理など事務的な仕事もやっています。
今の仕事に就いたきっかけは何ですか?
一番のもとをたどれば、アルバイトで皿洗いをやっていたのが始まりですかね。それからは、一時期飲食関係から離れた期間もありましたけど、ほぼずっと料理の世界にいて、気がついたらどっぷりはまっていました。「作ること」が好きだったのに加えて「接客が好きだった」ということも大きかったと思います。
これまで、ジャンルも形態もいろいろなものを経験してきました。今はイタリアンがメインですが、和食、洋食など、あらゆるジャンルの料理を作りましたね。ケーキ屋で働いていたときは販売や営業の仕事もしましたし、軽井沢のリゾートや六本木のバーで働いていたこともあります。職場を移るときは、だいたい知り合いの人の紹介ですね。
働いているなかで、「将来的に自分の店を持ちたいな」という思いは持っていましたが、最初の頃はまだ漠然としたものでした。そんななか、今の自分の仕事に関する「師匠」ともいえるような人に会ったのが大きかったですね。飲食の仕事の面白みや取り組み方というものを徹底的に教わりました。お客さんに対する責任、従業員に対する責任、お店に関する数字・売り上げ的なもの、そうしたすべてのノウハウをたたき込まれましたね。その後は独立を視野に働き続けていたところ、7年前、ちょうどお店をするのに適当な場所が見つかって、36歳で「ポルポ」を始めました。
今の仕事のよいところ、面白いところを教えてください。
やっぱり、お客さんが笑顔で帰っていくのを見るとうれしいですね。あと、従業員が笑顔で働いている姿を見るのもうれしいです。飲食店のよいところって、お客さんの反応が直にくるところだと思います。来ていただいたお客さんの顔を間近で見ることができますからね。
僕自身、まずは自分が楽しみたい方なんで「とりあえず楽しくなきゃ」というところを大切にしています。もちろん商売としてやっている以上、売り上げを上げることは大事なことかもしれないけど、まずは「お店を楽しい空間にすること」。いろいろなところで店長をやってきましたけど、そういうお店の方が業績も伸びますね。
初めて自分の店が開店したときは、やっぱりうれしかったですよ。「気持ちいい!」という思いと「やったー!」っていう感じと。10人中8人ぐらいには「大変だねえ」と言われましたけど、自分ではそんな意識は全然なかったですね。
メニューはその時その時によって、結構変えています。いいメニューにするには、やっぱり情報。まわりにあるもの全てがヒントなので、絶えずアンテナを張って、他の店にもかなり足を運びます。自分たちは、食べるのが仕事だし飲むのが仕事なので、いろいろなお店に行ってお客さんの立場に立って考えることが大事。お店に行ったときは、できるだけいい部分を探すことを心掛けています。「こういうサービスはいいな」と感じたときは、従業員にも「いい店だから行ってみて」と言うこともあります。
逆に、大変なこと、つらいことはありますか?
独立前も店長経験はあったのですが、やっぱり自分でお店を経営していくのとチェーン店の店長を任されるのとでは全然責任範囲が違います。オーナーとして、お店に関するすべてのことをチェックしなければいけないですからね。「しんどい」と思うことは毎日ありますよ。
ただ、お店をやっていると、それ以上の喜びがあります。お客さんに感謝されたりとか、従業員が楽しませてくれたりとか。
お店を始める前も含めて、「苦しいな」と思うことはこれまでも結構ありました。でも、「仕事がこうだ」っていうのじゃなくて、「自分はこうだ」っていうものが漠然とでもあれば、そんな環境も切り抜けられると思うんです。苦しいときでも「自分の勉強のため」と考えるようにする。そうすると嫌な気持ちがフーッと抜けて、「とりあえずやろう」と思えてくるものです。もちろん、あまりにも疑問を感じたときは、そこにいても後退するだけなので、やめた方がいいかもしれませんが。最後は「自分の判断」ですね。
高校生にメッセージをお願いします。
あんまり偉そうなことはいえませんが、とりあえず自分の行きたいと思った方向に行けばいいんじゃないかと思います。自分がやりたいと思っていることがあるんだけど、それをまわりからの意見で迷っているとしたら、「まずは進みなさい」と(笑)。それで実際にぶつかってみて、自分で感じて判断する。あんまりまわりに流されないことが大事じゃないでしょうか。
自分の気持ちがブレなければ、何をやっても楽しくなると思います。逆に、人任せにした時点で面白くなくなっちゃう。まずは、自分でぶつかってみて感じることじゃないですかね。高校生のうちに自分の一生全てが決まるわけじゃないですから、いろいろなことをやってみるのがいいと思います。
実は自分が最初に就職をしたのは、車の整備会社なんです。まだ若いときで、ちょうど車に興味がわき始めたというのもあって。4年ぐらい勤めたんですけど、「自分の居場所は別のところかな」と思って、また飲食の仕事に戻ってきました。生きていると、人生いろんなことがありますよ(笑)。
最後に、高校時代の「夢」を黒板に書いてください。
高校生なりの「パラダイス」的なものを考えていました(笑)。今は大人が楽しめる「楽園」みたいなお店を作れればと思っています。